『THE BATMAN ザ・バットマン』重厚で鈍重。地味渋。

アクション
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作品概要

クリストファー・ノーランが手がけた「ダークナイト」トリロジーなどで知られる人気キャラクターのバットマンを主役に描くサスペンスアクション。青年ブルース・ウェインがバットマンになろうとしていく姿と、社会に蔓延する嘘を暴いていく知能犯リドラーによってブルースの人間としての本性がむき出しにされていく様を描く。両親を殺された過去を持つ青年ブルースは復讐を誓い、夜になると黒いマスクで素顔を隠し、犯罪者を見つけては力でねじ伏せ、悪と敵対する「バットマン」になろうとしている。ある日、権力者が標的になった連続殺人事件が発生。史上最狂の知能犯リドラーが犯人として名乗りを上げる。リドラーは犯行の際、必ず「なぞなぞ」を残し、警察や優秀な探偵でもあるブルースを挑発する。やがて政府の陰謀やブルースの過去、彼の父親が犯した罪が暴かれていくが……。「TENET テネット」のロバート・パティンソンが新たにブルース・ウェイン/バットマンを演じ、「猿の惑星:新世紀(ライジング)」「猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)」のマット・リーブス監督がメガホンをとった。

映画.comより)

予告編

映画『THE BATMAN-ザ・バットマン-』特別予告(世界の嘘編)2022年3月11日(金)公開

感想・考察(ネタバレなし)

史上最も重厚な雰囲気を持つバットマン映画です。

しかし、重厚と鈍重は紙一重。
重厚感が雰囲気だけのもので、内容が伴いきれない場合、鈍重に感じられがちです。
僕の目には鈍重に映りました。冗長とまではいきませんが。

内容よりも雰囲気が重厚、というのは撮影と編集がもたらした部分が大きいです。画面は終始暗く、明るい画面は皆無かと思います。特に序盤の単色ではない、深みのある黒・闇の表現は見事。

が、本当に明るい画面か無いのでメリハリには欠けます。これが息苦しさと鈍重感の要因に。

編集はキレが悪い感じがします。じっくり丹念に描きたいがゆえに、スロームービー的なテンポです。

横転したペンギンの車にバットマンが歩み寄る場面は必要以上に長かったなと。腰を屈めて車の中を覗き込むバットマンの姿はえらく間抜けに見えてしまいました。。。

あと、場面ごとに長く回すか細かく切るかのメリハリは乏しく、一定のテンポだった印象。

思えば『ダークナイト 』はリアルを追求しつつも、バットポッドの場面など、マンガちっくなカッコ良さを設けてバランスを取ってました。

本作はそういう馬鹿馬鹿しくも突き抜けた要素が希薄なので、リアルなのは良いのだけど、やはり全体として見ると平坦な印象なのです。アメコミ映画も、戦争映画と同じでリアリティを追求し過ぎるとケレン味が損なわれるのだな、と。

また本作はヒーローや自警団と言うよりも探偵や捜査官としての側面を強調しているのは興味深い切り口。

でも、終盤で急に「あ、そう言えばヒーローだったわ」と思い出したかのように人命救助の場面が入るのは、さすがに取ってつけた感で笑いました。

あと、予想外の要素が少なかったのも残念。隠し球が無しか。

目指した方向性は良かったものの、期待を上回る内容ではなかった、今年の最重要作品

僕の評価

6点/10点

タイレンジャー
タイレンジャー

バットマン好きとしては、色々言いたいことがあるし、イマイチ楽しめなかった一本。

どうでも雑感

・『ダークナイト』以来、最高のバットマン映画!との評価が定着しつつありますが、それは『レゴ バットマン・ザ・ムービー』のほうでは?あと、ベンアフ版の反動による高評価か?

・今回のペンギンは多くが指摘の通り、デニーロ・アルカポネを模しているようで、実際に本編を観ると益々そのようにしか見えない。 『ジョーカー』と言い、『ザ・バットマン』と言い、DCのデニーロオマージュは一体何なんだと。

・リドラーはゾディアックを模しているのが良かった。 登場場面の眼にはやられましたねー。 終盤はポール・ダノ劇場。 あの顔面力。 いい配役。

そのほかのDC映画

コメント

  1. 出張コメントbyライオン丸 より:

    Mキートン版からのバットマン全作品を鑑賞し、かつTV版をも知る丸顔殿は『相変わらずダークナイトの呪縛に囚われてるなぁ…』の一言でござった。タイレンジャー殿の仰る通り『レゴムービー版バットマン』はバットマンの本質を的確に表現した名作ですが、丸顔殿は『ニンジャバットマン』でのジョーカーVSバットマンの関係性を絶賛しておりもうした
    ( ^_^)

    • いや~、ダークナイトに囚われているというのは、作り手だけでなく自分もそうだと思いましたね、今回。
      どうしてもダークナイトと比較せざるを得なくなってしまって、アッチはここが良かったのに今回はこれがダメみたいな見方になってしまう部分があります。それが無ければもっと楽しめるんでしょうけどね。
      僕はニンジャバットマンはなぜか合わず、途中離脱してしまいました。。。汗。機会を改めて観てみたいものです。

  2. キャン より:

    重厚でリアル志向であるがゆえに、現場検証してる警察の中に一人ただのコスプレ男がいるという絵面が非常にシュールで、逆にちょっと興味がわきます。
    僕みたいなライトユーザーでも、『ダークナイト』は衝撃だったので、ある種の評価基準になっちゃうのも致し方なしかと。
    そう言えばそちらは劇場の様子とかどうですか?
    コロナの状況は日本よりはるかに良さそうですが、普通に見に行けてるんですかね?

    • カンボジアは3月以降、新規感染者が1日あたり30人前後くらいなのですごく落ちついています。
      映画館はコロナ以降、(政府のお達しにより)1年以上も休業が続いていたのですが、今はすっかり営業再開していますよ~。
      ただし、ソーシャルディスタンスのため席は間引かれているのと、マスク必須、ワクチン接種証明カードの提示が必須です。
      それらを除けば、コロナ以前の賑わいが戻ってきていると感じますね。
      この映画も公開初日の平日昼間に観たのですが、それでも30人以上は入ってました。

  3. ご無沙汰しておりました、ニールです!だいぶ訪ねることが出来ずすみませんでしたm(_ _)m
    僕もIMAXでどっぷり浸かってきましたよ笑 個人的には楽しみましたがタイレンジャーさんのご指摘もなるほどと思いながらでした。たしかに暗すぎる笑 これまでのバットマン映画とも相違点が濃かったですね。今後どのようにシリーズが進むか、同じく注目していきたいです。

    自分らしくいる一年、実は僕も少し悩んだ一年だったので雑談記事を拝読して色々思う次第でした。本当にお疲れ様です。話は変わりますがやっと僕も初めてノエ作品、鑑賞しました^ ^いずれ記事にしたいと思っています!

    • ニールさん、こちらこそご無沙汰してました!
      僕は去年よりも自分の時間を取り戻せていますが、まだまだ映画を観る気力と時間まではもう少しかな~と思っています。
      ブランクが長いもので・・・今ノエの映画を観たら頭を抱え込んでしまうかもしれません( ´∀` )
      ニールさんがうまくノエの沼にハマってくれることを願います。

  4. じんちゅ より:

    気にはなっていましたが「JOKER」っぽい作りなのかなぁ、という不安と、どうにもロバート・パティンソンの良さがよくわからないことから観れていませんでしたが、遅ればせながら、やっと鑑賞できましたので感想を(パティンソンは「TENET」観てなんとなく良さがわかってきた)。

    タイさんのブログに書いてある通りだと思います。
    って、それだとあまりにあっけないので。なんですかね。バットマンの苦悩っていうか、そういうのがイマイチ感じられない。とにかく暗くつくれば重厚さがでるとおもってるの???コリン・ファレルらしいけど、あそこまで特殊メイクするならコリファレさん使う必要ある?あとは自分がバカなんでしょうが、どうにもストーリーについていけなかった。誰が市長を殺害したのか、その目的は?とかを描いているんでしょうが、それがわかりつつある中でも、えーっ?!とかほほー!とかって驚きとかの感情がわいてこないし、、、それでも世間的評判はいいんですよね?続編作られるらしいし。

    おじゃましました。