『透明人間』(2020) 【束縛系】なぜネチっこい男に限って透明になりたがるのか

映画『透明人間』の一場面 ホラー
(C)2020 Universal Pictures
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古典的ホラー映画を現代的にアップデートし、成功を収めた映画ですね。

しかし、本作において透明人間が登場することはさほど重要ではなく、束縛系カレシによるDVの恐怖こそがその本質です。

タイレンジャー
タイレンジャー

いるいる、こういう男!透明であることは除いて。

作品概要

2020年製作/122分/PG12/アメリカ
原題:The Invisible Man
配給:東宝東和
監督・脚本:リー・ワネル
撮影:ステファン・ダスキオ
音楽:ベンジャミン・ウォルフィッシュ
出演:エリザベス・モス/オルディス・ホッジ/ストーム・リード/オリヴァー・ジャクソン=コーエン/ハリエット・ダイア ほか

「ソウ」シリーズの脚本家リー・ワネルが監督・脚本を手がけ、透明人間の恐怖をサスペンスフルに描いたサイコスリラー。富豪の天才科学者エイドリアンに束縛される生活を送るセシリアは、ある夜、計画的に脱出を図る。悲しみに暮れるエイドリアンは手首を切って自殺し、莫大な財産の一部を彼女に残す。しかし、セシリアは彼の死を疑っていた。やがて彼女の周囲で不可解な出来事が次々と起こり、命まで脅かされるように。見えない何かに襲われていることを証明しようとするセシリアだったが……。主演は、テレビドラマ「ハンドメイズ・テイル 侍女の物語」のエリザベス・モス。

映画.comより)

予告編

『透明人間』予告編 <7月10日(金)公開>

感想・考察(ネタバレなし)


「復縁しなければ、殺す」

日本のニュースでよく目にしますよね、こんな事件。元交際相手の女性に殺害予告をして逮捕されるオトコが後を絶たないという。

本作の透明人間さんもまた、そんな束縛系にしてストーカー気質なオトコです。オンナは完全に自分のコントロール下に置きたいという支配欲の強すぎる奴であるがゆえ、「夜逃げ」した彼女をどこまでも追いかけ、精神的に追いつめていくというお話なんですなぁ。

で、この束縛カレシは天才科学者(で金持ち)であるという設定上、自らが開発した「透明になるスーツ」を使って証拠を残さず彼女に嫌がらせをするわけです。

透明人間と言えば、ポール・ヴァーホーヴェンの傑作『インビジブル』が記憶に新しい(とは言っても2000年の映画・・・)ですが、あれもまた元カノにネチネチネチネチまとわりつくサイコパス野郎の話でした。なぜネチっこいオトコに限ってみんな透明になりたがるんでしょうかね?

透明人間(オトコ)って本当にイメージが悪いですよね。映画の中で透明人間のやることと言えば、女風呂を覗きに行くか、痴漢をするか、元カノに嫌がらせをするかのどれかですからね。人間として終わっているオトコのイメージがそのまま透明人間に集約されていると言っても過言ではありません。

そもそも透明になるということ自体が歪んだ性的願望のあらわれ、と見ることもできます。「時間を止めることができる」設定のAVがあることと似ています。男の子がみんな抱く超能力願望というやつは案外、性的願望の建前なのかもしれませんね。

言い換えると、「透明になりたい」というのは精神的童貞度が高い、と思います。本作の透明カレシの嫌がらせは度を越しており、かつ異常にしつこいので、「そこまで固執するか?」と思いましたが、きっとコイツは恋愛経験が少ないからなんでしょうね。恋愛経験が少なくて、束縛気質なオトコほど「オンナなんてほかにもいるさ」という言葉が通用しません。

そんなオトコからDVされる女性の恐怖感が本作のメインということで、DV疑似体験映画としては存在意義があるなと思いましたよ。

そもそも主人公のセシリア(エリザベス・モス)もなんでこんなヤバい奴と付き合ってたの?って話なんですが、そこは恋とカネは人を盲目にさせるってことなんですかねぇ。

僕の評価

6点/10点

タイレンジャー
タイレンジャー

透明人間映画ではなく、DV映画としてそれなりに楽しめました。

どうでも雑感

・もし『アイアンマン』のトニー・スタークが束縛系で恋愛経験が少なかったら、本作の透明人間みたいになっていたかもしれませんね。人間性ってそのままスーツに現われますな。

・でもやっぱり僕としてはエロ、グロ、ゲスの三拍子がそろった『インビジブル』のほうが好みなんですよねぇ~。

鑑賞方法

『透明人間』は下記のVOD(ビデオ・オン・デマンド)にて配信中です。

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※本ページの情報は2020年12月時点のものです。最新の配信・レンタルの状況は各サイトにてご確認ください。

恋愛経験が少ない男はネチっこい説な映画

コメント

  1. トシ より:

    タイレンジャーさん、私の感想へのコメントありがとうございました。
    まさに仰るとおりで、エイドリアンが透明にならなければならない理由に乏しいというところ、単に怖がらせるだけにしても手がこみすぎ?という感じを受けました。
    観ている分には面白いのですが、ちょっと引っかかってしまいました。
    わたしは辛めだったかもしれませんが、タイレンジャーさんの60点評価、妥当なところだと思いました。
    個人的な感想ではありますが、評判の割にもうひとつでしたね。(^^)

    • トシさん、コメントをありがとうございます!
      僕も本作は評判ほどは響かなかったですね。
      エイドリアンの行動に関しては「そこまでやる?」の一言に尽きるんです・・・。
      本当に透明になりたがる人は心に相当な問題のある人ばかりで笑えてきますが。
      エリザベス・モスが特別な美人というほどでもなく庶民的なのは良かったんですけどね(怯える演技も良かったです)。

  2. ブー より:

    タイレジャーさんこんにちはぶー🤗
    透明人間、ブランチで予告やってたの見て気になってましたぶ。確かにストーカーするような人は精神的童貞というの共感ですぶ。。。もう年の瀬ですぶーなぁ。これからもぽちぽち拝見しにきますぶー🤗

    • ブーさん、いつもコメントをありがとうございます!
      ほんと、最近のストーカー的な犯罪の話を聞いていると世の中には透明人間気質な人がけっこういるもんだなぁと思いますね。
      年の瀬なので、年間ベストを考えなきゃですね・・・!良いお年をお迎えください。

  3. キャン より:

    こんばんは。
    この作品も見たいなと思っていましたが、どうしても『インビジブル』と比較してしまいそうですね。
    タイさんの評価はまぁ及第点といったところですが、ヒロインが「庶民感のある美人」というところで僕の中の気になる度がアップしました。

    まぁなんにしても…透明人間になってみたくはありますよね!(精神的童貞度高め)

    • キャンさん、こんばんはー!
      燦然と輝く名作『インビジブル』と比べると圧倒的にエロ不足、グロ不足、ゲス不足ですが、
      透明になりたがる男はやはり心に問題があることに確信が持てただけでも十分な映画でした。
      主演女優に関しては「大して美人でもねーのに」と映画ファンからは微妙な反応らしいですが、
      あのズングリ体型は嫌いじゃないです。