『愛の渦』【感想・ネタバレなし】セックスを通して描かれるコミュニケーション

映画『愛の渦』の一場面 ドラマ
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出演者たちが服を着ている時間はわずか18分という、ほぼ全編ハダカ&セックスな映画。
興味本位でポチっとご覧になった方も多いでしょう。
その本質は監督自身が語るように「セックスから始まるコミュニケーションというものがある」なのでしょうね。

タイレンジャー
タイレンジャー

セックスを通して人間を見つめろ、と。

作品概要

2014年/日本/123分
監督:三浦大輔
原作:三浦大輔
脚本:三浦大輔
撮影:早坂伸
音楽:海田庄吾
出演:池松壮亮/門脇麦/滝藤賢一/中村映里子/新井浩文/三津谷葉子 ほか

2006年・第50回岸田國士戯曲賞を受賞した、演劇ユニット「ポツドール」の同名舞台劇を映画化。ポツドール主宰の劇作家・三浦大輔が自ら映画用に脚本を書き下ろし、メガホンもとった。フリーター、女子大生、サラリーマン、OL、保育士など、ごく普通の人々が六本木のマンションの一室に集まり、毎夜繰り広げる乱交パーティに明け暮れる姿を通して、性欲やそれに伴う感情に振り回される人間の本質やせつなさを描き出していく。主人公のニートの青年を「半分の月がのぼる空」「砂時計」の池松壮亮が演じ、ヒロインとなる女子大生を東京ガスやチョコラBBのCMで注目を集める新進女優の門脇麦が演じる。そのほかの共演に新井浩文、滝藤賢一、田中哲司、窪塚洋介ら。

(映画.comより)

予告編

映画『愛の渦』予告編

感想(ネタバレなし)

空気を読む日本人たち

僕の友人が冷やかし目的でハプニングバーに行った時の話ですが、部屋の中には複数の男女が距離を置き、それぞれが壁側に陣取り、他愛も無い会話をするだけで、何も始まる気配が無く面白くなかったそうな。乱行しようってのに「どうぞ、どうぞ」をやってる場合か? 皆がエロいことを目的に来ているはずなのに、いざ「ハイ、どーぞ」と言われるとまずは空気を読むことから始めるのは日本人の特性か? 

誰がいつ仕掛けるのかを探り、世間話から始めるのというのは本作の序盤でも描かれる。これがもどかしくも、爆笑ものです。エロいことしようとしてるのに、女同士で話してどーすんのよ!とかね。 でも、この映画の状況に限らず、初対面の人同士が集まるとこういう感じになるものですよ。お酒が無いと皆が仲良くなるのは難しかったりする。

なので、こういう状況では皆の背中を押してあげるコンダクターが必要になる。婚活パーティーなんかでも、主催者の気の利いた一言があるか無いかで参加者の積極性がまるで変わると言いますからね。 そういう点では、本作に出てくるお店の人達は全然ダメ。店の人間が丸投げ過ぎて、参加者同士が「空気の読み合い」になってしまう。参加者の1人がやたらとお店の人と親しげ、というのも一見さんにとっては不快なもの。 

という訳で、最初のセックスが始まるまでのやりとりはとても長く、シュールで、笑えるのだけど、同時に観る側にとっては耐え難い時間でもある。斬り込み隊長役のたらい回しは、誰もが実生活でも身に覚えがあるからこそ、客観的に観るとイライラするのだ。分かる、だからこそ苛立つ。日本人にしか分からない感覚がベースになっているので、外国人が観たらどう思うのか。きっと日本人の精神面が色んな意味で心配されるに違いない。 

ハッキリ言って、想像の遥か上を行くおっぴろげな描写の連続でしたが、よくぞ遠慮せずにここまでやったと思いますが。エロ目的で観ても良いかもしれないけど、イタいほどの人間観察を体験することになります。

(画像は映画.comより引用)

僕の評価

6点/10点

タイレンジャー
タイレンジャー

むき出しの人間を描く目的が本作にはあり、その手段としてセックスという表現があるのだと思いました。

どうでも雑感

・女優陣の中では三津谷葉子だけが乳首を出してない。乳首出さぬは何ゆえか。観たいという願望ももちろんありますが、乳首だけは絶対に見せないという不自然さが鑑賞中のノイズになりますね。

鑑賞方法

『愛の渦』はU-NEXTで鑑賞できます。31日間無料トライアルなのでぜひ。
(2020年10月時点)

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