『完全なる飼育』【感想・ネタバレなし】明るい拉致監禁映画

映画『完全なる飼育』のポスター ドラマ
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女子高生拉致監禁ものです、ハイ。
現実にもそういう陰惨な事件が起きているのだから、わざわざ映画でそんな生々しいものは観たくないと敬遠していたのですが、これがビックリの傑作でした!

タイレンジャー
タイレンジャー

拉致監禁だけどコメディなのです。

作品概要

英題:The Perfect Education
1999年/日本/96分
監督:和田勉
原作:松田美智子
脚本:新藤兼人
撮影:佐々木原保志
音楽:十川夏樹
出演:竹中直人/小島聖/渡辺えり/北村一輝/塚本晋也/泉谷しげる/ガッツ石松 ほか

「心と体が結ばれた完全なるセックス」を求める中年男と、そんな彼に誘拐監禁された女子高生の危ない純愛を描いたコメディ。監督は「ハリマオ」の和田勉。松田美智子によるノンフィクション小説「女子高校生誘拐飼育事件」を基に、「おもちゃ」の新藤兼人が脚色。撮影を「F[エフ]」の佐々木原保志が担当している。主演は、「のど自慢」の竹中直人と「一生、遊んで暮らしたい」の小島聖。

(映画.comより)

予告編

Trailer – 完全なる飼育 (1999)

感想・考察(ネタバレなし)

なんだこの明るさは!?

冒頭でいきなり小島聖が誘拐されるところから始まって「おっ!この映画いいじゃないか!」となり、  2分後には竹中直人の破壊力抜群な台詞がさく裂!

「誘拐して申し訳ありませんでした!」

これには大爆笑しました。  こんな内容にも関わらず、とっても明るい気持ちで観ることがてきましたよっ! そう。これは明るい拉致監禁映画だったのです!  

話としては卑劣な男が思い描くファンタジーに過ぎません。10代の女の子を飼育し、身も心も繋がりたいと、実行に移し、結果的には本当にその女の子と結ばれてしまうのだから、 とても現実的ではありませんね。 

誘拐拉致などの被害者が加害者に好意を抱くようになることをストックホルム症候群というらしい。そんな言葉があるくらいなので、これまでケースとしてはあったのだろうけど…ねぇ?てか、犯罪者予備軍に期待を抱かせるようなイイ感じの名前付けるなよ!

陰惨な事件を明るく描くのは傑作のパターン

まず、拉致監禁される環境がスゴイ。

人里離れた堅牢な屋敷の地下室とかではなく、大都会のボロい木造アパートの一室!
ただでさえ薄いであろう壁には防音処理がされてない!
部屋の扉をロックするのは南京錠ただ1つ!
部屋の窓は内側から開けられる! 

ムリやろ!

しかも、アパートの大家は渡辺えり子、その他の住人は北村一輝、塚本晋也、泉谷しげる。 まぁ~色々と面倒くさそうな面々が揃っています。こんな環境で拉致監禁します!? 

とても現実的ではないプランなんだけど、そこが映画として面白いわけ。陰惨な拉致監禁ものを想像して観ると、あまりのギャップに笑ってしまうのだ。 陰惨なことを明るく描く映画は傑作が多い。『時計じかけのオレンジ』の『雨に唄えば』を歌いながら暴力をはたらく場面なんかがそう。 本作も明るいパワーが全て。なぜ加害者と被害者が結ばれるかと言うと、説得力は無い。でも、開き直ったような明るさで押し切ってしまう。 

それから竹中直人と小島聖の演技無くして、この説明のつかないパワーは成り立たなかったと思う。拉致犯なのに、茶目っ気があってダンディ。被害者なのに、明るく一途。加害者と被害者はこういうもの、という既成概念を吹っ飛ばす、ナイスカップルでした。 

監督の和田勉さん、参りました!勉さんと言えば、このCMのイメージしかなかったのだけど、こんな傑作を世に送り出しのだから、この高笑いも当然ですわ。

いいなCM 月桂冠 ザ・カップ200 和田勉


(画像は映画.comより引用)

僕の評価

8点/10点

タイレンジャー
タイレンジャー

この題材に眉をひそめる人は多いと思いますが、決して犯罪を肯定するものではなく、1歩引いてコメディとして描いた点がスゴイです!

どうでも雑感

・小島聖さんのむっちりヌードと濡れ場が拝めます。

鑑賞方法

『完全なる飼育』はU-NEXTで鑑賞できます。31日間無料トライアルなのでぜひ。
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