その年のゴールデンラズベリー賞の最低作品賞を受賞(最低脚本賞と最低スクリーンアサンブル賞も)していますが、そんなに酷い映画ではないと思う。
むしろ、かなり面白かったですし、笑えました。3分の2くらいまでは・・・。

ゲスいコメディとして爆笑できますが、終盤は話が破綻します。
作品概要
2015年製作/126分/R15+/アメリカ
原題:Fifty Shades of Grey
配給:東宝東和
監督:サム・テイラー=ジョンソン
原作:E・L・ジェームズ
脚本:ケリー・マーセル
撮影:シーマス・マッガーベイ
音楽:ダニー・エルフマン
出演:ダコタ・ジョンソン/ジェイミー・ドーナン/ジェニファー・イーリー/マックス・マーティーニ/ルーク・グライムス/エロイーズ・マムフォード ほか
英ロンドン在住の一般女性がネットに投稿した官能恋愛小説を書籍化し、世界50カ国で翻訳されて世界累計1億部を突破したベストセラーを実写映画化。恋愛経験ゼロの女子大生が、大企業の若きCEOを相手に繰り広げる刺激的な恋愛体験を、「ノーウェアボーイ ひとりぼっちのあいつ」のサム・テイラー=ジョンソン監督のメガホンで描いた。大学生のアナ・スティールは、学生新聞の取材で若き億万長者として知られる大企業のCEOクリスチャン・グレイにインタビューし、それをきっかけに2人は急接近。グレイと交際する女性が守るべきルールを記した秘密保持契約書を提示されたアナは、書類にサインし、グレイと通じ合うことになる。しかし、グレイにはある秘密があった。アナ役は俳優ドン・ジョンソンと女優メラニー・グリフィスを両親に持つダコタ・ジョンソン、グレイ役はモデル出身の若手俳優ジェレミー・ドーナン。日本ではR15+指定で封切られた後、より過激なR18+指定バージョンも一部で公開された。
(映画.comより)
予告編
感想・考察(ネタバレなし)
本質は男女の恋愛ギャップ
面白いのはサディスト王子が女子大生に主従関係によるSM行為の「契約」を持ちかけるところです。
女子大生にとっては恋愛関係
サディスト王子にとっては契約関係
要は「恋人同士になりたい女性と、セフレが欲しいだけの男性」という不一致、と同じことなんです。
そういう意味ではごく普通の恋愛の話ですね。SMは話の表現なだけで、本質は男女の恋愛ギャップな気がします。
だから「欲しいのは愛ではなく、快楽」と王子がスパッと言い切るのはよく分かります。本気ではない男の本音はこんなもんですから。
王子は屈折したサディストとして描かれていますが、素直な恋愛ができず、快楽優先の自己中心的という点ではありふれた男ですよねぇ。金持ちで、イケメンで、ロマンチックなことができるという違いが大きいだけで。
王子の「関係は持ちたいけど、一緒に寝ることはない」という割り切りっぷりも面白いなーと思いながら観させてもらいましたよ。
(C)2015 Universal Studios.
SM契約する?しない?
さて、物語上の最大の焦点は女子大生が「SM契約」をするかしないかというのと、またそれがどのような内容なのか、です。
アメリカは契約社会と言われてますが、本作では詳細なSM契約書が登場します(笑)。
何事においても契約書が優先される社会で、男女のSM関係まで契約書以上でも以下でもないという扱われよう。
契約内容に関して両者で交渉をするやりとりがイイですね~。観る側もいろいろ妄想が膨らんで。
例えば、女子大生が「緊縛のときはロープや皮手錠はいいけど、テープはダメ」と言ったり。
で、女子大生は契約する気満々なのにわざと焦らしたりするもんだから、観てる方としては「・・・んもう!」と悶絶。(ナイス焦らし!)
ところがですよ。常にビジネスライクだった王子もさすがに焦らされすぎたのか、終盤では「もう契約書は関係なーい!」なんて言いだすもんだからは話が失速。今までのやりとりは何だったんだよ。
(C)2015 Universal Studios.
精神的な責めと肉体的行為が分離した「にわかSM」
あとは肝心の王子のSM行為が案外・・・フツー。
これはやっぱり本質的にはSMの話ではないから、ファッションやアクセサリーのようなSMでしかないんですよ。つまり形から入っているだけ。
団鬼六先生の『花と蛇』などが精神的なねちっこい責めを伴うSM行為だとしたら、本作は精神的な責めと肉体的行為が分離してしまっていると思いますー。
言葉責めは日本特有なのかな??
いずれにしても本作の「にわかSM」っぽさは否めません。
だからSM映画としてではなく、ちょっと変わった恋愛映画として観たほうが楽しいですね。
あと、普通の女の子が別世界のイケメンと恋をする話って『トワイライト』みたいだなーって思っていたら、本作の原作小説はもともと『トワイライト』の主人公カップルをモデルにした、ファンによる二次創作物なんだとか。納得。
原作は女性向けエロ小説として全米でベストセラーに。
その影響で、やはりSM行為に「形から入って」怪我をしてしまう若者も増えたのだとか。SM用具は用法用量を守り正しく使いましょう。
僕の評価
7点/10点

いや~、ゲスくてなかなか笑えました。
どうでも雑感
・主人公の女子大生を演じたダコタ・ジョンソンが可愛かったので高めの評価に。そしてナイス脱ぎっぷり!
鑑賞方法
『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』は下記のVOD(ビデオ・オン・デマンド)にて配信中です。
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※本ページの情報は2020年11月時点のものです。最新の配信・レンタルの状況は各サイトにてご確認ください。
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