『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』感想:マクドナルドで振り返ろう、ザ・20世紀の価値観!

映画『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』の一場面 ドラマ
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20世紀と比べるとモノの価値観は大きく変わりつつあるのを感じますが、改めて20世紀の象徴のひとつであるマクドナルドについて考える良い機会となる一本。

すごいですよねぇ。コダワリの小店だったのが真逆の方向にブチ進んでこんなに巨大化しちゃったんだから・・・。

タイレンジャー
タイレンジャー

レイ・クロックはクソ野郎のようでいて、「誰もがなりたい姿」を同時に体現してもいます。

作品概要

原題:The Founder
2016年/アメリカ/115分
監督:ジョン・リー・ハンコック
脚本:ロバート・シーゲル
撮影:ジョン・シュワルツマン
音楽:カーター・バーウェル
出演:マイケル・キートン/ニック・オファーマン/ジョン・キャロル・リンチ/リンダ・カーデリニ/パトリック・ウィルソン/ローラ・ダーン ほか

「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」でアカデミー主演男優賞にノミネートされたマイケル・キートンが、マクドナルドの創業者レイ・クロックを演じる、実話をもとにしたドラマ。1954年、シェイクミキサーのセールスマン、レイ・クロックに8台もの注文が飛び込む。注文先はマックとディックのマクドナルド兄弟が経営するカリフォルニア州南部にあるバーガーショップ「マクドナルド」だった。合理的なサービス、コスト削減、高品質という、店のコンセプトに勝機を見出したクロックは兄弟を説得し、「マクドナルド」のフランチャイズ化を展開する。しかし、利益を追求するクロックと兄弟の関係は次第に悪化し、クロックと兄弟は全面対決へと発展してしまう。キートンが主人公クロックを演じるほか、妻エセル役をローラ・ダーン、マクドナルド兄弟役をニック・オファーマン、ジョン・キャロル・リンチがそれぞれ演じる。監督は「しあわせの隠れ場所」「ウォルト・ディズニーの約束」のジョン・リー・ハンコック。

映画.comより)

予告編

映画『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』予告

感想・考察(ネタバレなし)

大量消費という20世紀の価値観を生み出したマクドナルド

マクドナルドは20世紀の価値観の象徴。

大量に効率よく低コストに商品を生産して、規模を拡大してより多くの利益を生み出す。それが豊かさであり成功、という価値観ですよね。

でもそんなイケイケ右肩上がりな大量生産、大量消費は21世紀の今や、とっくに限界を迎えていて、それは「やがては無理を来たす価値観」ということに考えが改まってきています。

これからの時代は量よりも質が求められるようになる、と言われていますが、「足るを知る」というか、適正な生活、適正な消費の中で生きていく価値観が主流になるんでしょうね。

で、その「量より質」って価値観は、フランチャイズされる前のマクドナルド大一号店の経営方針だったんですよ。意外にも最初は小規模経営を貫くカリスマ店だったんですね。今の時代に合うのはむしろ、この創業当時の経営方針だってのが皮肉で面白いところ。

けど、そんな排他的なハンバーガー屋も20世紀のアメリカ的な価値観に飲み込まれてしまって、本来の創業者の理念はないがしろにされてしまうというのが本作。

創業者のマクドナルド兄弟は優れたクリエイター(技術者)で、事業を拡大したレイもまた優れたプロモーター(商売人)だった。

が、双方が同じ方向(経営方針)を見ることができないと、どちかにとっての大惨事に。片や大成功だけに、余計に。

大量消費時代が終わりつつある今、大量消費の始まりを描いた本作が作られたことはやっぱり意義深いですよ。歴史から学ぶ教訓として。

映画『ファウンダー』の一場面

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偉大なる創業者か、横取りクソ野郎か

ところで、マクドナルドのフランチャイズ化を進めたレイ・クロックという人物、本作を観て彼の事を「やり手クソ野郎」のように感じる人も多いそうな。嫌悪感すら抱いて。

そりゃあ、他人のモノを自分のモノにしてしまったり、他人のオンナまでも自分のモノにしようとする外道な図々しさがあるから、そう思われても仕方がないですね。

ただ、見逃せないのは、彼自身が忍耐強い努力家でもあったことを表す描写が序盤に多いことです。自己啓発レコードを夜な夜な聞いてモチベーションを維持したり、仕事には決して手を抜かない姿勢などが描かれていたので、そこは映画として若干ながら彼のことを擁護してますね。「完全なクソ野郎かどうかは、観るあなたの判断に委ねますよ」と。

僕が観た限りでは、彼は長年の不遇に耐え、努力と忍耐を怠らず、巡ってきたチャンスをモノにするだけの実力者。でも、自分の欲求に素直すぎて、他人をないがしろにするクソ野郎でもある。てな感じでしょうかー。

今まで全くモテなかった人が急にモテ始めて、自分を見失うパターンにも似ていますね。

僕の評価

7点/10点

タイレンジャー
タイレンジャー

長らく仕事に恵まれなかったマイケル・キートンが意気揚々とクソ野郎を演じているのが嬉しいな~。

どうでも雑感

・なんでも効率化、巨大化、大量生産が果たして本当に良いことなのだろうか、という問いかけにもなっていますね。

鑑賞方法

『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』はU-NEXTで鑑賞できます。31日間無料トライアルキャンペーンがあるのでぜひ。
本ページの情報は2020年10月時点のものです。最新の配信状況はU-NEXTサイトにて
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