『ザ・カー』【合わせ技】オカルト映画×モンスター映画=悪魔の車

映画『ザ・カー』の一場面 ホラー
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ブーッブブブーッ!嗚呼、耳に残る独特のクラクション音。 無人の車が無差別に人々を襲うという作品です。

似たような映画でジョン・カーペンターの『クリスティーン』もありましたが、本作の方が先です。

で、これがオカルト映画とモンスター映画のミックスという、いかにも70年代的な題材なんですね。

タイレンジャー
タイレンジャー

オカルトとモンスター、混ぜちゃいました。

作品概要

1977年製作/アメリカ
原題:The Car
配給:ユニヴァーサル=CIC
監督:エリオット・シルバースタイン
脚本:デニス・シュリアック マイケル・バトラー レイン・スレート
撮影:ジェラルド・ハーシュフェルド
音楽:レナード・ローゼンマン
出演:ジェームズ・ブローリン/キャスリーン・ロイド/ジョン・マーリー/R・G・アームストロング ほか

突然、ある日無人の車(カー)が人を襲うサスペンス映画。製作はマーヴィン・バートとエリオット・シルヴァースタイン、監督は「馬と呼ばれた男」のE・シルバースタイン、脚本はデニス・シュラック、マイケル・バトラー、レーン・スレート、撮影はジェラルド・ハーシュフェルド、音楽はレナード・ローゼンマンが各々担当。出演はジェームズ・ブローリン、キャスリーン・ロイド、ジョン・マーレイ、R・G・アームストロング、ロニー・コックスなど。

映画.comより)

予告編

The Car (1977) Official Trailer (HD)

感想・考察(ネタバレなし)


本作がユニークなのは 

『ジョーズ』のようなモンスター映画
『エクソシスト』のようなオカルト映画 

という70年代の米国映画の二大トレンドを組み合わせちゃった点ですね。 

黒くイカツイ車が突如人間たちを襲うという物語は明らかに動物パニック映画の影響下にあり、仮題は『Wheels (車輪)』だったというのも、まんまJaws(顎)の亜流感がプンプンします。 

また、その車は明らかに悪魔の化身として描かれています。ネイティヴアメリカン伝承の邪悪な存在であり、十字架のある墓場には立ち入れないという特徴からもそれは明らかです。 

皆さんがご存知の通り、この時代はモンスター映画(動物パニック)、オカルト映画の亜流が数多く製作されましたが、その2つを組み合わせた作品というのはちょっと他には思い当たらないですね。 熊だのタコだのシャチだのミミズだの…動物モンスターはもう出尽くしたぞ!という中での変化球が『ザ・チャイルド』と本作ですね。


さらには車に人間の怨念が宿って…という話なら聞いたことがありますが、車そのものが悪魔の化身というのは珍しいのではないでしょーか。

で、そんな車をどう見せるかなんですが、演出がなかなか巧みですねぇ。今やモンスターものの定番ですが、なかなか車の全体像を見せないんですね。前半は部分的にしか見せずに焦らします。 また、舞い上がる砂埃、ボディに反射する光、闇に浮かび上がるヘッドライトなど間接的に「何かが迫り来る…!」ことを表現した演出もイイですね〜。 

あと、これもまんま『ジョーズ』ですが、人間に迫る車の主観映像。ただ無感情に徐々に人間に迫っていく様子は不気味です。 

と、このように車の見せ方は非常に充実していますが、その反面、合間の人間の見せ方はサッパリなんですわな。人間たちはただ状況に対応するだけで、ドラマの起伏もなく、車の出ていないシーンは平坦で退屈です。 車の演出に力を入れすぎて、人間のほうが手抜きになっちゃたような印象があり、これは残念でした。

あとはクライマックスはもうひと工夫欲しかった気もします。例えば村の荒くれオヤジが「奴を倒すにはこれしがねっべ!」と自前の改造車で対抗するとか。面倒な人が意外な形で貢献するパターンですね。ベタですが悪魔の車vs田舎の改造車は観てみたかったなぁ。

(画像はIMDbより引用)

僕の評価

6点/10点

タイレンジャー
タイレンジャー

あとは本作はスピルバーグの『激突!』の影響もあるかもしれませんね。

どうでも雑感

・主人公の保安官を演じたジェームズ・ブローリン(右)はあのジョシュ・ブローリンの実父だそうです。ジェームズ・ボンド役の候補にも上がった二枚目俳優だとこのこと。

・同僚の警官役には『ロボコップ』(1987)で最後にロボコップに撃たれて落下する悪徳副社長を演じたロニー・コックス。

・元ネタはアメリカ特有の怪談なのかなって思ってましたが(『スリーピーホロウ』の首なし騎士みたいな、運転手なし車とか)、残念ながらどうやらそういうのは無いみたいです。

鑑賞方法

『ザ・カー』は下記のビデオマーケットにて配信中です。

また、DMM.comの宅配DVDレンタルにて鑑賞をすることができます。初月は無料です!

※本ページの情報は2020年11月時点のものです。最新の配信・レンタルの状況は各サイトにてご確認ください。

70年代のモンスター映画

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