『哭声 コクソン』【感想・考察】横溝正史の金田一耕助シリーズを”逆”にしたような

映画『哭声 コクソン』の一場面 ホラー
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ご覧になられた方々が口を揃えて「よく分からない」と言うように、僕もまたこの映画のことがよく分からないのです。
ただ、本作の持つ奇妙なストーリー展開が個人的には嬉しい要素であったので、その点について書きますー。

タイレンジャー
タイレンジャー

今回は若干ネタバレかも?

作品概要

英題:The Wailing
2016年/韓国/156分
監督:ナ・ホンジン
脚本:ナ・ホンジン
撮影:ホン・ギョンピョ
音楽:チャン・ヨンギュ/タル・パラン
出演:クァク・ドウォン/國村隼/ファン・ジョンミン/チョン・ウヒ/ ほか

「チェイサー」「哀しき獣」のナ・ホンジン監督によるサスペンススリラー。平和なある村にやってきた、得体の知れないよそ者の男。男が何の目的でこの村に来たのかは誰も知らない。村じゅうに男に関する噂が広がる中、村人が自身の家族を虐殺する事件が多発する。殺人を犯した村人に共通していたのが、湿疹でただれた肌に、濁った眼をして、言葉を発することもできない状態で現場にいることだった。この事件を担当する村の警官ジョングは、自分の娘に殺人犯たちと同じ湿疹があることに気付く。娘を救うためにジョングがよそ者を追い詰めるが、ジョングの行動により村は混乱の渦が巻き起こってしまう。警官ジョング役にドラマや映画の名脇役として知られ、本作が初主演となるクァク・ドウォン。國村隼がよそ者の男を演じ、韓国の映画賞・第37回青龍映画賞で外国人俳優として初受賞となる男優助演賞と人気スター賞のダブル受賞を果たした。

(映画.comより)

予告編

3/11(土)公開 『哭声/コクソン』予告篇

感想・考察(ネタバレなし)

「たたりじゃ!」

これは市川崑監督の『八つ墓村』(1996)のキャッチコピーだ。
農村にて落武者の祟りと思われる連続殺人事件が発生するという話。

当時、中学生だった僕は「落武者の悪霊が犯人」というオカルトホラーだと思いこんで、ウキウキしながら観に行った。

しかし、横溝正史の金田一耕助シリーズがどういうものか知らなかった為、その実態はオカルトホラーに見せかけておいての、推理ものだったので、ひどく落胆したものだ。
犯人は落武者ではなかったのだ。

スケキヨの容姿がインパクト大な『犬神家の一族』も同様で、ホラーかと思いきや結局はドロドロ人間関係が原因の推理もので、尻すぼみだと感じた。スケキヨもすぐにいなくなっちゃうし。

横溝正史の作品がちゃんと最後までオカルトホラーで突き通してくれたら、僕はどんなに幸せなことか、なんて思っていた。

僕のそんな願いが隣国のナ・ホンジンに届いたのか、本作は横溝作品と真逆の、殺人ミステリーと見せかけておいてのオカルトホラーという内容になっている。

予想以上のホラー展開に、「祟りじゃ!國村準さまがお怒りじゃ!」という台詞が出てこないのが不思議なくらい。

僕が本当に見たかった農村オカルトホラーを実現してくれたナ・ホンジンに礼を言う。

映画『コクソン』の一場面

(映画.comより)

逆『八つ墓村』

では、『八墓村』と『哭声 コクソン』のストーリー展開をざっくりと比較。

『八つ墓村』のストーリー展開 (主観強め)

平和な農村で殺人事件!

なに?悪霊(落武者)の仕業なのか?こりゃエライことになるな!(超ホラー展開にウキウキ)。

金田一が登場(ホラーに探偵だと?)

さらなる犠牲者。でも、悪霊は?

金田一がトリックを暴く!

なーんだ。人間の仕業だったの?

『哭声 コクソンのストーリー展開 (主観強め)

平和な農村で殺人事件!

どうやら犯人は相当イカれた奴らしい

日本人が化け物のように描かれてるけど、どうせ正体は人間なんでしょ。

祈祷師が登場(なんかオカルトっぽくなってきた?)

ん?日本人は悪霊?こりゃエライことになるな(超ホラー展開にウキウキ)

えっ!本当に悪霊だったの?

というわけで、

『八つ墓村』は悪霊と思ったら、実は人間の仕業
『哭声 コクソン』は人間と思ったら、実は悪霊の仕業


という見事に対になる構成だ。

言い換えると、
『八つ墓村』は前半ホラー、後半推理もの
『哭声 コクソン』は前半推理もの、後半ホラー
ということになる。

つまり『哭声 コクソン』は 逆・『八つ墓村』なのだ。
ホラー好きで、推理ものが嫌いな僕にとっては当然、「コクソン」の方が好みだ。ホラー好きからすると、悪霊から始まり人間に終わる「八つ墓村」は見事なまでに竜頭蛇尾な話である。


(画像は映画.comより引用)

僕の評価

7点/10点

タイレンジャー
タイレンジャー

あれこれ考察するのも楽しいですが、単純にこの奇抜な展開を楽しめるかどうかも重要だと思います。

どうでも雑感

・國村準さんに関しては言うことないでしょう。あれだけのキャリアのある方の裸仕事は眼福。いや、もちろん裸だけじゃなくて、彼の「眼」が活きていたな、と。

・日本人VS祈祷師の儀式バトル?のトランス感は圧巻。

・本作は劇場で観た方が良い画面設計になっていると思う。引きの絵はかなり遠めにカメラが配置されてあったり、暗い室内にある雑多なアイテムの数々は情報量が多いからだ。テレビ画面では作り手が意図した情報量が正確に伝わらないんじゃないかと思える場面がいくつかあった。

鑑賞方法

『哭声 コクソン』はU-NEXTで鑑賞できます。31日間無料トライアルなのでぜひ。
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