既に有名な映画ライターさんたちが言及されているように…
最後が『マッドマックス』一作目(1978)みたいで痺れたぜ!!
いやぁ、マッドマックス一作目のラストにビビビときた僕にとっては本作は渾身のガッツポーズですよ。

重厚な社会派映画なのにマッドマックスなの?
作品概要
原題:Wind River
2017年/アメリカ/107分
監督:テイラー・シェリダン
脚本:テイラー・シェリダン
撮影:ベン・リチャードソン
音楽:ニック・ケイブ/ウォーレン・エリス
出演:ジェレミー・レナー/エリザベス・オルセン/ジョン・バーンサル/ジル・バーミンガム/ケルシー・アスビル ほか
アメリカの辺境を舞台に現代社会が抱える問題や現実をあぶりだした「ボーダーライン」「最後の追跡」で、2年連続アカデミー賞にノミネートされた脚本家テイラー・シェリダンが、前2作に続いて辺境の地で起こる事件を描いた自らのオリジナル脚本をもとに初メガホンをとったクライムサスペンス。第70回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門で監督賞を受賞。主演は「ハート・ロッカー」のジェレミー・レナーと、「アベンジャーズ」シリーズのエリザベス・オルセン。ネイティブアメリカンが追いやられたワイオミング州の雪深い土地、ウィンド・リバーで、女性の遺体が発見された。FBIの新人捜査官ジェーン・バナーが現地に派遣されるが、不安定な気候や慣れない雪山に捜査は難航。遺体の第一発見者である地元のベテランハンター、コリー・ランバートに協力を求め、共に事件の真相を追うが……。
(映画.comより)
予告編

感想・考察(ネタバレなし)
え?本作は池上彰さんが解説をするような社会派作品じゃないのって?
もちろん、それは本作の1つの側面であり、背景の部分。でも終盤あたりから、本作のまた違う側面がニョキニョキと姿を現わすんですわ。
テイラー・シェリダン監督が脚本を担当した『ボーダーライン』を例に取ると、あれもメキシコ麻薬戦争をテーマにした社会派作品だけど、途中で話がガラッと変わりますよね。「あ、そーゆー話になるの?」っていう。
シェリダンはこういう話の転換が上手くて、本作でもそれに近い転換があります。
映画の入り口と出口が違うとでも言いましょうか。
つまり、米国の先住民に関する社会問題を問うというのが映画の入り口で、出口は雪上のマッドマックス(一作目)だった、とゆーわけです。
でも決して映画として一貫性が無いわけではなくて、むしろ問題提起とエンタメのバランスが非常に良く、うまく調和されているのだからスゴイ。
この手のシリアスな社会派作品にありがちなのは結末に白黒つけず、宙ぶらりんで終わらせるパターン。『ボーダーライン』がまさにそうだったと思う。
が、本作は意外にも明快な「悪を裁く!」という結末になっていて、強力なカタルシスがあるんですよねぇ。
それも無法地帯に等しい土地ですから、法による裁きではなく、私刑ですよ。
「誰も裁かねぇなら、オラが裁くズラ!」と。
扱う題材が現在進行形のデリケートな問題だけに、ハッキリした結末は用意されてないんだろうな~、きっとモヤモヤするんだろうな~と思いながら観ていただけに、これは意外だった。
またしてもシェリダンに「あ、そーゆー話になるの?」を食わされたわけです(いい意味で)。
また、こういう重い題材の割に上映時間が111分と比較的コンパクトにまとまっているのも素晴らしい。
米国の先住民問題についても学べる社会派マッドマックス(一作目)です。
僕の評価
8点/10点

僕は雪国の田舎出身なので、辺境のやるせなさ、ドン詰まり感は痛いほどよく分かりました。素晴らしい映画です!
どうでも雑感
・やっぱり可愛いエリザベス・オルセン。FBIというお堅いお仕事とはギャップのあるTバックのお尻にグッときました。
・終盤の扉を開けるシーンの鮮やかさは『羊たちの沈黙』を彷彿とさせますな。
鑑賞方法
『ウインド・リバー』はU-NEXTで鑑賞できます。31日間無料トライアルキャンペーンがあるのでぜひ。
本ページの情報は2020年10月時点のものです。最新の配信状況はU-NEXTサイトにて
ご確認ください。

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