『恐怖の報酬 オリジナル完全版』感想: プンプン臭う、魔境映画

映画『恐怖の報酬』の一場面 サスペンス
(C)MCMLXXVII by FILM PROPERTIES INTERNATIONAL N.V. All rights reserved.
この記事は約5分で読めます。

これは掛け値なしに素晴らしい映画です!!
オリジナル完全版で観ることができたことに価値があります。

いまも強烈に脳に焼き付いていますよ。いや、むしろ本作が放つ「臭い」が画面を通り越して服や身体に染みついてしまったかのようです。

タイレンジャー
タイレンジャー

ウィリアム・フリードキン監督の作品では『エクソシスト』よりも好き。

作品概要

1977年製作/121分/アメリカ
原題:Sorcerer
配給:コピアポア・フィルム
監督:ウィリアム・フリードキン
製作:ウィリアム・フリードキン
原作:ジョルジュ・アルノー
脚本:ウォロン・グリーン
撮影:ジョン・M・スティーブンス/ディック・ブッシュ
音楽:タンジェリン・ドリーム
出演:ロイ・シャイダー/ブルーノ・クレメル/フランシスコ・ラバウ/アミドウ ほか

「フレンチ・コネクション」「エクソシスト」で知られるウィリアム・フリードキン監督が1977年に手がけたサスペンス大作で、ジョルジュ・アルノー原作&アンリ・ジョルジュ・クルーゾー監督による同名フランス映画をリメイク。南米のジャングルを舞台に、反政府ゲリラによって爆破された油田の火災を鎮火させるため、1万ドルの報酬と引き換えに、危険なニトログリセリン運搬を引き受けた4人の男たちの命運を描いた。ユニバーサルとパラマウントという2大メジャースタジオが共同出資し、3大陸5カ国でのロケを敢行するなど、完成までに2年の歳月と2000万ドル(現在の100億円相当)という当時として破格の製作費が投じられた。しかし、77年の全米公開時「スター・ウォーズ」が一大旋風を巻き起こした影響で興行的に大失敗し、78年に公開された日本をはじめとする北米以外の国では、監督に無断で大幅にカットされた92分の短縮版が上映された。その後も長らく権利関係などで上映もDVD発売もされていなかったが、2013年にフリードキン監督の手により121分のオリジナル版の4Kデジタル修復が行われ、同年のベネチア国際映画祭でプレミア上映された。日本でも18年11月「オリジナル完全版」として劇場公開され、121分の本来のバージョンが初めて日本で日の目を見る。

映画.comより)

予告編

『恐怖の報酬 オリジナル完全版』フリードキン監督メッセージ入り予告編

感想・考察(ネタバレなし)


大好きです、この禍々しさ。 

本筋とは関係がない(特に意味はない)けど、とにかく不穏なディテールに溢れた映画です。 

顔に殴られたようなアザがある花嫁
街を埋め尽くす独裁者の肖像ポスター
残飯に群がるカニ
泥にまみれて路上に寝る男
岩肌に掘られた魔物の顔
深い皺が刻まれた現地住民の顔、顔、顔 

何気ない描写のひとつひとつが異様なのです。 

 これはフリードキン監督の前作『エクソシスト』(1974)も同様で、特に見せ場ではない日常のシーンでもなぜか不穏で気味が悪いんですよね。例えばカラス神父の母親が入院する病院なんかは写実的なシーンのはずなのにすっごく不気味。悪魔祓いの本筋が進む前から、得体の知れぬ異様さが充満しています。 

本作はポスターでも描かれている吊り橋のシーンに代表されるサスペンスの凄まじさもさることながら、そのような不穏ディテールも同じくらい強烈。 そして、僕はこういうディテールにこだわった映画が大好物なのです。何度でも観たくなります。 

そんな本作は不穏な映画であると同時に、臭う映画でもあります。 

高温多湿な南米の粘っこい空気感
常に脂汗にまみれた男たちの顔
男臭でむせ返りそうなタコ部屋
爆発で焼け焦げる人間の肉
そして、間近に迫る死の臭い 

臭うということはリアルだということです。本作では汚いものがありのままに描かれます。綺麗事は一切ありません。土俵際に追い詰められた男たちが底辺の中でもがき苦しむ過程をねちっこく描いていきます。絵面も決して綺麗ではありませんが、その禍々しさに目が釘付けになってしまうんですよね。 

 で、これらのディテールの積み重ねによって形作られた本作は、アンリ・ジョルジュ・クルーゾー監督のオリジナル版(1953)とはまた違った悪魔的な雰囲気の映画になっています。 僕個人がイメージする言葉を当てはめるなら、“魔境映画”ですね。 日本版ポスターには「密林の果てに地獄を見た」というキャッチコピーがありますが、僕にとっては地獄というよりも、魔物が棲む場所、魔境でした。 

他に密林が魔境になる映画と言えば『地獄の黙示録』(1979)や『プレデター』(1987)などが思い浮かびますが、きっと僕はそういう題材が好きなんだと思います。男たちが魔境で苦悶するような話が。 という訳で、魔境好きな同志はぜひご覧下さい。 

出来不出来で言うと、映画としては色々と穴がありますが、理屈だけでは語れぬ魅力があります。観れば観るほど好きになっていく類の映画なんじゃないかという気がしますね。

僕の評価

9点/10点

タイレンジャー
タイレンジャー

不穏!臭い!魔境!な映画なので僕のストライクゾーンにズッキュンでした。

どうでも雑感

・タンジェリン・ドリームが手がけた不気味な電子音楽が魔境に毒々しい花を添えています。ニコラス・ウィンデング・レフン監督の『オンリー・ゴッド』の曲が本作のテーマ曲に似てたのはオマージュなんですかね。

鑑賞方法

『恐怖の報酬 オリジナル完全版』はU-NEXTで鑑賞できます。31日間無料トライアルキャンペーンがあるのでぜひ。

U-NEXT

本ページの情報は2020年11月時点のものです。最新の配信状況はU-NEXTサイトにてご確認ください。

『恐怖の報酬 オリジナル完全版』はTSUTAYA TVでも鑑賞できます。30日間お試し期間があるのでぜひ。

本ページの情報は2020年11月時点のものです。最新の配信状況はTSUTAYA TVサイトにて
ご確認ください。

0

コメント