『AVP2 エイリアンズ vs. プレデター』感想・考察:推し!欠陥品だけど、正統派

映画『AVP2』の一場面 SF
(C)2007 TWENTIETH CENTURY FOX
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前作『AVP』が個人的には全くハマらなかったゆえ、長らく未見であった本作。期待値を下げて観たせいもあるけど、これが驚きの快心作。嬉しいサプライズ映画でした。世間での評判は散々なようですが、皆さんが批判されている部分は、僕にとっては全てが評価したい点なんです。

タイレンジャー
タイレンジャー

完全支持!!

作品概要

原題:Aliens vs. Predator: Requiem
2007年/アメリカ/94分
監督:コリン・ストラウス/グレッグ・ストラウス
脚本:シェーン・サレルノ
撮影:ダニエル・C・パール
音楽:ブライアン・タイラー
出演:レイコ・エイルスワース/ジョン・オーティス/スティーブン・パスクール/ジョニー・ルイス ほか

エイリアンとプレデターの2大人気モンスターが激突し、話題となった「エイリアンVS.プレデター」の続編。前作のラストでプレデターの体内に産みつけられたエイリアンの卵が成長し、両種の特徴を受け継いだ新種のエイリアン“プレデリアン”が誕生。コロラドの森に墜落したプレデターの宇宙船から、プレデリアンやプレデター、そして宇宙船内に潜伏していたエイリアンたちが次々と地上に降り立ち、人間たちを巻き込んで壮絶な戦いを繰り広げる。

映画.comより)

予告編

Aliens vs. Predator: Requiem (2007) Theatrical Trailer

感想・考察(ネタバレなし)

画面が暗いのは正統な表現

僕がまだ小学生の頃、NHK大河ドラマ『信長』のとあるシーンに衝撃を受けた。

信長を快く思わぬ家臣たち?が蝋燭だけの暗い部屋でヒソヒソ策略を練るというシーン。蝋燭だけの室内をリアルに再現した為か、画面は非常に暗く、誰が映っているのかよく見えないほどだった。

家族は「暗くてよく見えないわねぇ」とボヤいていたけど、僕は1人興奮していた。「見せない」ことも表現なのだ!と。それまで見ていたテレビの世界は照明が均一に当たった明るい画面が当たり前だと思い込んでいた。が、見せないことも演出であって、意図によっては効果的だということを知った。

そもそも、エイリアンもプレデターもその姿が「よく見えない」からこそ怖い。

それぞれの第1作目は敢えて全身をクリアに見せないような演出になっている。これも明確な「見せない表現」ですね。シリーズを重ねれば、徐々に姿形が露わになるのは必然だけど、残念ながらクリアに見えてしまうにつれて、絵としては滑稽でしかなくなっていった(特にAVP)。

その点、本作は原点回帰していて、エイリアン、プレデター共にその姿形がよく見えないので、本来の得体の知れない怖さが蘇っている。前作のようなスーパーヒーロー対戦ではなく、恐怖映画としてのアイデンティティを取り戻す意図があったと思う。特に画面のトーンは『エイリアン2』に似せてあるのが嬉しい。

まぁ、画面が暗いのは予算不足という現実的な事情もあっただろうけど、ちゃんとコンセプト通りの表現であり、オリジナルへのリスペクトを感じさせます。

物語のベースにあるのはゾンビ

田舎町でエイリアンが急激に増殖して、街は壊滅状態だから、生き残った者たちが武装してヘリで脱出しようってのはゾンビ映画の典型的な流れですな。

ゴシックホラー、戦争アクション、宗教、変態性欲…とあらゆるジャンルを取り込んできたエイリアンシリーズが、今度はゾンビものかぁ。まだこんな切り口があるんだなぁと感心した。

エイリアンが地球で増殖、となるとスケール的に話の収拾がつかなくなりそうだけど、「ゾンビのスケール感」にうまく落とし込んだ印象。

実際に本作のエイリアンの1個体はゾンビレベルで弱いが、とにかく多数だ。酸性の返り血といういつもの設定は途中から完全無視。でも、そのおかげで、ゾンビものとしての図式が成り立ってたと思う。返り血設定を遵守してたら、人間もあっという間に全滅しちゃうので。

映画『AVP2』の一場面

(C)2007 TWENTIETH CENTURY FOX

本当の無差別

我が街が、我が国が侵略されるということがどういうことか?それは自国の女子供が侵略者に犯されるということ。侵略に差別は無いのだ。

どんなホラー映画でも人道的な観点から殺されないタイプの人がいるけど、そんな生温いことはあり得ないのだと、本当の侵略の恐ろしさを本作は説いている。セオリー通りなら「そのタイプの人を殺しちゃあいかんでしょ」となるところが、容赦なし。子供が、妊婦が、それも犯されるかのように殺される…。

その点を「酷い!節度がない!」と感じる人が多いのも頷けるけど、一見おバカ映画な本作がそんなリアルで無差別な侵略を描いたことは意義深いと思うんですよねぇ。この「徹底的に無差別」であるという点が何よりも怖いのです。個人的には侵略モノの中でも屈指の恐怖感だった。

流石に犬は犠牲にならなかったけど。

オタク臭くてヘタクソな造り

エイリアン、プレデターの描写は非常に良いのだけど、人間が出ているシーンの描写は目を疑う程にヒドイっす。単純に演出がヘタクソ過ぎる。もし映画の授業があれば、脚本、撮影、編集、演技などあらゆる点で本作は格好の失敗例として扱われそう。

きっと本作を作った人たちって現実世界の人間よりもモンスターが好きっていう部類なんだと思う。人形で遊ぶ子供が人付き合いを知らずに大人になったような。だから、モンスター描写は活き活きとしていて、人間描写はトンチンカンなことになるのかと。映画としては明らかに欠陥が多い。

でも、僕はこの映画を愛さずにはいられません。不器用なオタクが信念を持って、本来のエイリアン像、プレデター像に最大限の敬意を持って、尚且つ新たな切り口に挑戦する気概に共感したから。「気の利いたことは言えないけど、俺が好きなのはコレなんだよ!」と愚直に説かれているような気持ち良さがあった。

本作は欠陥だらけなんだけど、エイリアン、プレデターのシリーズの正統な後継者だ。

映画『AVP2』の一場面

(C)2007 TWENTIETH CENTURY FOX

お色気シーンもアツいぞ!

誰が主人公なんだか最後までよく分からない、というのも本作の大きな欠陥。僕が見る限り最も主人公らしいのはヘタレ学生の兄ちゃん。

とてもモテそうな感じには見えないが、なぜか学園のマドンナには気に入られて「今夜一緒に泳ぎに行かない?」とお誘いを受ける!

夜、2人で学校のプールに忍び込むと、マドンナが水着に着替えだし…という桂正和先生の漫画の妄想シーンみたいなドキドキ展開があるんですよ!

 これがまた、いかにもモテない人の妄想っぽくて、親近感が湧くという(笑)。 

(学園のマドンナが着る水着が上下不揃いというのも変なリアリティがあってイイ!)

ただ、展開上、意味のないエロサービスなのではなく、こんなシーンがあるからこそ、その後の凄惨な展開が引き立つという意図はシッカリ感じたぞ! 

僕の評価

8点/10点

タイレンジャー
タイレンジャー

本作を数値で評価するのはなかなか難しくて、個人的に好きかどうかで言ったら10点満点でも良いくらい!

どうでも雑感

・『プレデター2』のラストで人間を褒め称えたせいで、プレデターが人間と共闘できる余地を生んでしまったことはこのシリーズの弊害に。でも今回はプレデターと人間との交流、一切無し!人間のことは眼中に無く、ひたすらにエリアン殲滅まっしぐら。無力な人間はただ巻き添えを食うだけ。人手不足な単独任務にも関わらず、黙々と仕事をこなす掃除人プレデターが非常に男らしくカッコいいのである。本作でプレデターは男を上げたな!

鑑賞方法

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『プレデター』シリーズ

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