昔はテレビの洋画劇場でしばしば放送されていたので、知名度があったと思うのですが、最近はめっきり名前を聞く機会がなくなって残念です。
B級っぽい設定でありながらも、観る者をぐいぐい引き込む力のあるSFアクションなのですが、実は男同士の恋愛映画としての側面もあるのでは・・・という僕の妄想について書き綴ります。

カイル・マクラクランがエイリアンの役という時点で「一本」です。
作品概要
1988年製作/96分/アメリカ
原題:The Hidden
配給:ジョイパックフィルム
監督:ジャック・ショルダー
脚本:ボブ・ハント
撮影:ジャック・ヘイトキン
音楽:マイケル・コンバーティノ
出演:カイル・マクラクラン/マイケル・ヌーリー/エド・オロスクルー・ギャラガー/クローディア・クリスチャン/クラレンス・フェルダー/ウィリアム・ボイエット/クリス・マルケイ/ダニー・トレホ ほか
凶悪なエイリアンを追う謎のFBl捜査官とロサンゼルス市警の刑事の姿を描く。製作総指揮はスティーブン・ダイナー、リー・ミュール、デニス・ハリス、ジェフリー・クライン、製作はロバート・シェイ、マイケル・メルツァー、ジェラルド・T・オルソン、監督は「エルム街の悪夢2 フレディの復讐」のジャック・ショルダー、脚本はボブ・ハント、撮影はジャック・ヘイトキン、音楽はマイケル・コンヴァーティノが担当。出演は「フラッシュダンス」のマイケル・ヌーリー、「ブルー・ベルベット」のカイル・マクラクランほか。
(映画.comより)
予告編
感想・考察(ネタバレあり)
『太陽がいっぱい』的な・・・
これねぇ、今になって見返すと【隠れ同性愛】っぽい映画だなぁと思いました。
表面的には全然そんな要素無いんですよ?クルマを乗り換えていくように人体をホイホイと乗り換えていく寄生エイリアンを追いかけるSFアクションですし、主人公2人は80年代的な凸凹コンビだし。
なによりも「ヒドゥン 同性愛」でネット検索しても全然ヒットしない!実際に全編の95%においては同性愛のドの字も感じられません。
しかーし、最後のシーンを観て「あっ…」と。
本作は『太陽がいっぱい』的な隠れ同性愛映画なんじゃないかと思ったのです。
フランス映画の名作『太陽がいっぱい』は貧乏な青年が金持ちの友人を殺して、彼に成り済ますことで彼のステータスを手に入れるという犯罪モノですが、故・淀川長治さんはこれを「隠れ同性愛映画」と見抜いた有名な話があります。
それは貧しい青年が同性の金持ち友人に恋愛感情を抱いていた、という解釈だったと記憶しています。金持ち友人を殺して彼に成り済ますのは愛ゆえの行き過ぎた行動だったのでしょうか。
そんな「ボクはキミになりたい」という願望が変則的ですが本作にも垣間見えたのです。
(IMDbより)
BLであってもなくても、感動的であることに変わりなし
【以下ネタバレ】
カイル・マクラクラン演じる紳士服売り場のマネキンのようなFBI捜査官ロイドは、コンビを組むことになる刑事トムの家に招かれて夕食を共にします。
トムには妻と幼い娘がいて幸せな家庭を築いており、その様子をどこか寂しげに見つめるロイド。実はロイドにもかつては妻子がいたが、追跡中の犯人エイリアンに命を奪われたのでした。
で、ロイド自身もまた犯人エイリアンを追う立場のエイリアンであることが判明します。
2人は追跡劇の末に犯人エイリアンを抹殺するも、ロイドもトムも瀕死の重症を負ってしまいます。トムの妻と娘が嘆き悲しむ様子を見たロイドは自分の命をトムに吹き込むことで、トムを蘇生させます。
ロイドは息絶えましたが、ロイドの意識はトムの身体に宿り、トムの妻と娘と共に生きていくと心に決めたのでした。自らが失った家庭を取り戻すかのように。
何とも爽やかで感動的な結末ですねぇ!派手さは無いものの、緊張感溢れるSFアクションの最後にこんな感動が待っているという意外性がまた良いのです。
でも、先ほどの「ボクはキミになりたい」を念頭に置くと一気に同性愛っぽく見えるのがまた面白いところ。
つまり『太陽がいっぱい』と同じで、ロイドはトムを愛したために「彼に成りすます」選択をしたようにも思えるのです。それは単純にトム自身に恋愛感情を抱くだけでなく、彼のライフスタイルやその家族も含めて「トムの生き方」に憧れ、愛したのではないでしょーか。
ロイドがトムに命を吹き込むのも「口移し」だから余計にそう見えますねぇ。
超美形のカイル・マクラクランが、ワイルドなタフガイ風のマイケル・ヌーリーに惚れて…という裏設定も無くは無さそうですかね?
BL好きの腐女子のみなさま、そんな観点で本作を観てみてはいかがでしょーか。
もちろん、腐な女子でなくとも楽しめる1本です!
僕の評価
8点/10点

同性愛かどうかは置いておいても、面白い!
どうでも雑感
・隠れBLとは言っても、本作は生々しさや嫌な感じは一切なく、爽やかで尊いですよね。僕は何度見ても素直に感動してしまいます。今見ると意外と演出も的確で、映画としてのレベルも高いなぁと思いました。
・悪いほうのエイリアンがヘビメタ好きで、高級車好きで、おっぱいが好きで、権力が好き、というのは社会風刺なんじゃないかなぁと思わせるフシもあって面白いです。
・カイル・マクラクランの整いすぎた容姿に、不思議ちゃんぽいキャラはまさにエイリアンそのものですね。カイルにこの役という時点で本作はかなりポイントが高いと思いますー。
鑑賞方法
『ヒドゥン』は下記のVOD(ビデオ・オン・デマンド)にて配信中です。
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※本ページの情報は2020年11月時点のものです。最新の配信・レンタルの状況は各サイトにてご確認ください。
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