『複製された男』感想・考察:寝取り願望/寝取られ恐怖

映画『複製された男』の一場面 サスペンス
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なんやコレ!?ワケわからん!と議論を呼ぶ映画ですが、ミステリーだと思って観てはいけない映画ですね。僕は「蜘蛛」の存在などはスルーして、別の部分に注目しました。
オトコ目線での寝取りたい願望と、寝取られてしまう恐怖、です。

タイレンジャー
タイレンジャー

しかもこれが映画の中でよく見られる法則なんですよね。

作品概要

原題:Enemy
2014年/カナダ、スペイン/90分
監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ
原作:ジョゼ・サラマーゴ
脚本:ハビエル・グヨン
撮影:ニコラ・ボルデュク
音楽:ダニー・ベンジー/ソーンダー・ジュリアーンズ
出演:ジェイク・ギレンホール/メラニー・ロラン/サラ・ガドン/イザベラ・ロッセリーニ ほか

主演のジェイク・ギレンホールが1人2役を演じ、「灼熱の魂」「プリズナーズ」のドゥニ・ビルヌーブ監督のメガホンで、ポルトガル唯一のノーベル賞作家ジョゼ・サラマーゴの小説を映画化。自分と瓜二つの人物の存在を知ってしまったことから、アイデンティティーが失われていく男の姿を描いたミステリー。大学の歴史講師アダムは、DVDでなにげなく鑑賞した映画の中に自分とそっくりの端役の俳優を発見する。驚いたアダムは、取り憑かれたようにその俳優アンソニーの居場所を突き止め、気づかれないよう監視するが、その後2人は対面し、顔、声、体格に加え生年月日も同じ、更には後天的にできた傷までもが同じ位置にあることを知る。やがて2人はそれぞれの恋人と妻を巻き込み、想像を絶する運命をたどる。

(映画.comより)

予告編

映画『複製された男』予告編

感想・考察(ネタバレなし)

顔が瓜二つのオトコが現れるとどうなるか

本作のベースになっているのは下記の2点かなと。
1. 他人の女を寝取りたい願望
2. 自分の女を寝取られる恐怖

もし自分と瓜二つの男が現れると、だいたいどちらかの展開になる。


例えば『フェイス/オフ』ではジョン・トラヴォルタの顔を被ったニコラス・ケイジがトラヴォルタの奥さんを寝取るという展開があった。

奥さんは「今日のアナタは随分と情熱的なのね~」なんて喜んでるし。同じなのは顔だけなんだから、抱かれた時点で奥さんには気付いて欲しかったな…。女性はだいたいこういうのは気づくから、奥さんは特別アホ気づかないくらいご無沙汰だったということでしょう。

顔が同じであることを良いことに、他人になりすまして女を寝取る。
一部の男にはこういう願望があるということが描かれていた。

そして、そんな寝取りたい男がいるからこそ、寝取られるのが怖い男もいるのです。
代表的なところで言うと、この映画、『ダブル・インパクト』。

ヴァン・ダムが双子の一人二役という暑苦しさもダブルな映画。

双子ヴァンダムの片割れが、自分の女が自分と瓜二つの兄弟に寝取られてるのではと妄想を爆発させ、モノに当たり散らすというシーンがあった。自分の女を寝取られたくはないけど、「もう1人の自分」に取られるのが一番耐え難いのかもしれない。しかもそれはそれはマブイ女だったからねぇ。

あっ!僕が大好きな塚本晋也監督の『双生児』もそういう話だった。

このように、自分と瓜二つな男が現れれば、その男の女を寝取ってやろうという心理と、自分の女が寝取られるのが怖いという心理のどちらかが働くのが男ってもんです。

その両面を描いたのが本作。

顔も声も体の傷跡も全く同じという2人の男が偶然に出会ってしまうという話。普通だったら、2人の出自を明らかにしようと展開になるのだけど、全くそうはならず、如何に相手の女を寝取るかに腐心するという展開なのが面白い。

映画『複製された男』の一場面

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セックスのためなら、たとえ他人になってでも

他人の女を寝取る上で簡単な方法は、その他人に変身してしまうことだ。もちろんこれは子供じみた考えではあるが、悪いことをするなら、自分ではなく別人格のせいにしてしまえば罪悪感も無いという。そして、セックスの為なら他人になってしまっても構わない。いや、むしろその方が好都合だ、ということでもある。

セックスの為の変身願望というのは、デヴィッド・リンチの『ロスト・ハイウェイ』でも描かれていた通り。

そう。男はセックスの為なら自分を捨てて他人になることも厭わないのです。

先日、新宿での飲み会で初めて会った女性が「なぜ男はそんなにヤリたいのか」と半ギレしていた。良く言えば感受性が豊かな人だ。ただ、皆でワイワイお酒を楽しもうという場で、そういう話題と態度はそぐわない。僕は「貴方は男というものが分かってない」という旨をその女性に伝えると、火に油を注いでしまったようで(当たり前だ)、一気にお通夜ムード。

だって、男はセックスの為なら透明人間になることすら厭わないんだぜ?

これまた「全く、男ってやつは…」な映画。厳密には、セックスがしたくて透明人間になった訳ではなく、透明人間になったことを良いことに性犯罪に走るという話をだけど。
いずれにしても、「自分と瓜二つの男がいるからさぁ〜」とか「透明になっちゃったばかりにね〜」と特殊な状況を良いことに、邪なことをしちゃえ!という男はいるし、それは物語の題材として面白いのだ。

今思うと、その半ギレ女性には『フェイス/オフ』『ダブル・インパクト』『ロスト・ハイウェイ』『インビジブル』そして本作を観ることを薦めたい。如何に男がゲスいかがよく分かるはずだ。または益々、訳が分からなくなるかもしれない。

とにかく、寝取る/寝取られる、の観点で観ていたので、蜘蛛の存在についてはよく分からないけど、この人を食ったようなラストは嫌いではありません。

(画像は映画.comより引用)

僕の評価

7点/10点

タイレンジャー
タイレンジャー

オトコの願望むきだし、というのが面白かったですね。そして謎は謎のままで良いではありませんか。

どうでも雑感

・ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督らしく、少し眠くなるトーンだ。基本的に静かで、淡々としているからだ。でも、セピアっぽい色調の映像は美しく、特に都市景観はかなり独特だし、力が入っている。こんな都市景観を見せられば、彼が『ブレードランナー2049』の監督に選ばれたのも納得。なぜなら、ブレランの主役は都市そのものでもあるからだ。

・メラニー・ロランとサラ・ガドンのおっぱいが拝めます。

鑑賞方法

『複製された男』はU-NEXTで鑑賞できます。31日間無料トライアルなのでぜひ。
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ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督作品

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