『グレース・オブ・ゴッド 告発の時』【神父様は小児性愛者】幼少期のトラウマと共に生きる人へ

映画『グレース・オブ・ゴッド 告発の時』の一場面 ドラマ
(C)2018-MANDARIN PRODUCTION-FOZ-MARS FILMS–France 2 CINÉMA–PLAYTIMEPRODUCTION-SCOPE
この記事は約5分で読めます。

20年間で80人もの少年に性的虐待をしていたことでフランスを震撼させた「プレナ神父事件」の映画化作品です。

週刊誌的なネタを得意とするフランソワ・オゾン監督が珍しく実直モードで撮った本作は、幼少期に何らかの心の傷を抱えてしまったすべての大人にとっては他人事でない映画となりました。

タイレンジャー
タイレンジャー

僕も鑑賞中は胸が痛い思いをしました・・・。

作品概要

2019年製作/137分/G/フランス
原題:Grace a Dieu
配給:キノフィルムズ
監督・脚本:フランソワ・オゾン
撮影:マニュエル・ダコッセ
音楽:エフゲニー・ガルペリン/サーシャ・ガルペリン
出演:メルヴィル・プポー/ドゥニ・メノーシェ/スワン・アルロー/エリック・カラヴァカ/フランソワ・マルトゥーレ/ベルナール・ヴェルレー/ジョジアーヌ・バラスコ ほか

「8人の女たち」「2重螺旋の恋人」のフランソワ・オゾン監督がフランスで実際に起こった神父による児童への性的虐待事件を描き、第69回ベルリン国際映画祭で審査員グランプリ(銀熊賞)を受賞した作品。妻と子どもたちとともにリヨンに暮らすアレクサンドルは、幼少期にプレナ神父から性的虐待を受けた過去を抱えていた。アレクサンドルは、プレナ神父が現在も子どもたちに聖書を教えていることを知り、家族を守るために過去の出来事の告発を決意する。彼と同様に神父の被害に遭い、傷を抱えてきた男たちの輪が徐々に広がっていく中、教会側はプレナの罪を認めながらも、責任を巧みにかわそうとする。信仰と告発の狭間で葛藤するアレクサンドルたち。彼らは沈黙を破った代償として社会や家族との軋轢とも戦うこととなる。

映画.comより)

予告編

『グレース・オブ・ゴッド 告発の時』予告編 (7/17公開)

感想・考察(ネタバレなし)


「キミも神父様に触られた?」

そんなドキッとするようなワードが冒頭から展開する本作は、幼少期の性的虐待のトラウマに苦しむ男たちが手を取り合い、当の神父を告発する過程を描いています。

個人的な話をすると僕もねぇ、小学生の時に教会に通っていた時期があったので、ああいう状況下で神父さんから「触られていたら」と思うと、心底ゾッとしますね。

うちは父がクリスチャンで、母が仏教徒だったのですが、父の勧めによって毎週日曜日は教会に通うことになりました。讃美歌を歌ったり、神父さんが読み上げる聖書に耳を傾けたりしたわけです。でも当時は「なぜ自分は教会に通っているのか」は全く理解できておらず、ただなんとなく通っていただけです。親に言われたからただその通りに通っている、習い事の一つくらいの感覚でしたね。

その点、キリスト教が生活に深く根付いた欧米においては、子どもたちも教会に通う意味は理解できているはずなだけに、神父にそんな行為をされることの辛さもまた日本人の想像も及ばぬ苦悶であるかと察せられます。それが性的な行為であると認識できる前の年代の子も多いでしょうから、極めて悪質ですよ、これは。

さて、そんな苦痛を味わった少年たちがすっかりいい歳のオジサンになってから本作の物語が始動するのですが、主に3人の被害者に対してリレー形式のように焦点が当てられていきます。最初の2人は仕事も家庭も充実していて今一つ「痛み」が感じられなかったのですが、最後の1人であるエマニュエル(スワン・アルロー)には完全に目を奪われましたねぇ。

エマニュエルは3人の中で最も「後遺症」が重く、腐れ縁の恋人こといるものの、仕事は点々とし、暮らしぶりも裕福とは言えず、今も散発する発作に悩まされています。

本作の中で主にスポットライトが当たる3人の犠牲者はその後の人生も三者三様であるのが興味深いのと同時に、やはりエマニュエルの不遇っぷりはより一層際立つものがあります。もっと端的に言えば「人生を奪われた」という負のオーラが出まくっているのですよ、この人は。

エマニュエルの場合は精神的な後遺症だけでなく、肉体にもそれが及んでいて、男性器が変形してしまっているほど(その写真を見た女性弁護士が思わず絶句する)。

彼の苦痛はこちらの理解が及ばぬレベルのものかと思いますが、僕は徐々にエマニュエルに対して感情移入をしていきました。程度の差はあれど、「過去の傷」が足かせになって前に進めない時がある、という点では誰しもが共感しうるからです。

いい意味で「通俗的」な映画を撮るフランソワ・オゾンが本作においては珍しく抑制の効いた演出を見せており、堅実な映画である一方、若干の物足りなさも残しています。

僕の評価

6点/10点

タイレンジャー
タイレンジャー

家族に囲まれ幸せそうな他2人に比べ、エマニュエルの寂しそうな様子は身に沁みます・・・。「一人じゃないって最高だな」という凡庸な台詞が刺さります。

どうでも雑感

・少年時代のトラウマに対して、大人になってから対峙するという点では『IT/イット THE END』と似ているなーと思ったり。誰もが幼少期の心の傷を抱えてますから、これは普遍的な物語ですよねぇ。

鑑賞方法

『グレース・オブ・ゴッド 告発の時』は下記のVOD(ビデオ・オン・デマンド)にて配信中です。

・U-NEXT |31日間無料トライアルキャンペーン実施中

U-NEXT

※本ページの情報は2020年12月時点のものです。最新の配信・レンタルの状況は各サイトにてご確認ください。

フランソワ・オゾン監督作品

+6

コメント