無職、無収入、家賃は滞納中、でもセフレはいる、という男が主人公。
結局のところ、本作はそんな暇人の妄想に付き合わされるような映画です。
デヴィッド・ロバート・ミッチェル監督にとっては『アメリカン・スリープオーバー』『イット・フォローズ』に続く【大人未満】が題材の作品となります。

ダメ男の妄想に付き合うってどんな感じ?
作品概要
2018年製作/140分/R15+/アメリカ
原題:Under the Silver Lake
配給:ギャガ
監督・脚本:デヴィッド・ロバート・ミッチェル
撮影:マイケル・ジオラキス
音楽:ディザスターピース
出演:アンドリュー・ガーフィールド/ライリー・キーオ/トファー・グレイス/ゾーシャ・マメット ほか
「イット・フォローズ」で世界的に注目を集めたデビッド・ロバート・ミッチェル監督が、「ハクソー・リッジ」「沈黙 サイレンス」のアンドリュー・ガーフィールド主演で描いたサスペンススリラー。セレブやアーティストたちが暮らすロサンゼルスの街シルバーレイク。ゲームや都市伝説を愛するオタク青年サムは、隣に住む美女サラに恋をするが、彼女は突然失踪してしまう。サラの行方を捜すうちに、いつしかサムは街の裏側に潜む陰謀に巻き込まれていく。「私たちは誰かに操られているのではないか」という現代人の恐れや好奇心を、幻想的な映像と斬新なアイデアで描き出す。サラ役に「マッドマックス 怒りのデス・ロード」のライリー・キーオ。
(映画.comより)
予告編
感想・考察(ネタバレなし)
面白くはない。でも興味深い。そんな映画です。
「面白くない」というのは物語そのもののことで、謎と伏線と小ネタの情報量が多すぎて、渋滞を通り越して玉突き事故を起こしてしまっています。
一応はミステリーの部類に入る話だし、謎に対してはある程度の回答が得られるんですが、解明には全くカタルシスが無く、狐につままれたような気分に。
そもそも、謎解きは主眼に置かれてなくて、謎が謎のままであることを楽しむタイプの映画かと思いますが、その謎自体も魅力的ではないんですわ。
で、「興味深い」というのは主人公の自堕落な生き方。
どーやらこれは監督自身の体験に基づいているようです。僕もそんな生活をしていた(家賃は払ってたぞ!)時期があったのでよく分かるんですよ。そんな時ってなにせヒマな分、まぁエロいことしか考えられないんですよね。主人公だってヒマさえあればオッパイを眺めるような男だし。
で、素敵な女の子との出会いに恋い焦がれ、チャンスあらば執着しちゃうですよね。主人公のストーカーまがいの思い込みの強さはヒマさゆえなのです。あとちょっとでヤレたのに〜!という時のヒマ男の妄想のキモさを描く映画ですね。
まぁ、この辺は身に覚えがあるだけに決して他人事ではありません。
僕も20代の頃、時間を持て余していた時期はやはり素敵な女の子との出会いに恋焦がれていて、1回会って優しくされた女の子に何とかまた会いたいと同じ場所をうろついたりしましたからね。だから、本作の思い込みの激しい主人公の気持ちは分かりますよ。
ただ、主人公のようにフラフラエロエロしている男に芯がないように、この映画自体も小ネタで埋め尽くされている割には芯が脆弱な気がします。どんなに様々な要素を散りばめても、物語そのものに求心力が無くては砂上の楼閣です。
あとは主人公の妄想と行動に共感とまでは行かずとも、理解ができるかどうか。これは観客の「現状」によっても受け止め方が異なると思います。
青春モラトリアムにはノスタルジーは感じつつも、日々社会との闘いを経験した身としては「甘いんだよ」と一括したくなるのです。僕もすっかりオッサン化したなぁ。
(画像はIMDbより引用)
僕の評価
4点/10点

デヴィッド・ロバート・ミッチェル監督は『イット・フォローズ』で抜群のセンスの良さを見せていただけに、本作は残念。
どうでも雑感
・『マッドマックス 怒りのデスロード』の赤毛ちゃんこと、ライリー・キーオは本作ではなかなか可愛かった。しかし、出番が少なすぎ。
・散りばめられた雑多な要素の一つ一つの意味を考察する価値はあるかもですが、その気になるだけの魅力は薄いので、個人的には手を出さないでおきます。
鑑賞方法
『アンダー・ザ・シルバーレイク』は下記のVOD(ビデオ・オン・デマンド)にて配信中です。
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※本ページの情報は2020年11月時点のものです。最新の配信・レンタルの状況は各サイトにてご確認ください。
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