『フィッシュストーリー』ややネタバレ感想：和製パルプ・フィクション…じゃなかった

丸顔海賊団さんとじんちゅさんからオススメ頂いたのが本作。

ただ、困ったことに本作はネタバレ無しで観たほうが良い類の映画なので、感想が書きにくいんです。

あまり具体的なことは書かないつもりですが、「ネタバレがなんぼのもんじゃーい！」という豪傑な方はどうぞお読みくだせえ。

タイレンジャー

少し似ている？
『パルプ・フィクション』と比較してみました。

作品概要
予告編
感想・考察（ややネタバレ）
僕の評価
どうでも雑感
鑑賞方法

作品概要

2009年製作／112分／日本
監督：中村義洋
原作：伊坂幸太郎
脚本：林民夫
撮影：小松高志
音楽：菊池幸夫
音楽プロデュース：斉藤和義
出演：伊藤淳史／高良健吾／濱田岳／多部未華子／森山未來／大森南朋　ほか

1975年、早すぎたパンクバンド「逆鱗」は世間に理解されぬまま、最後に「FISH STORY」という曲を残して解散した。1982年、2009年と時は流れて2012年、彗星激突の危機に見舞われた地球を救った陰には、「FISH STORY」の存在があった……。伊坂幸太郎の同名小説を、「アヒルと鴨のコインロッカー」に続き中村義洋監督が映画化。「逆鱗」ベーシスト役で伊藤淳史が映画初主演のほか、高良健吾、多部未華子、森山未來、濱田岳、大森南朋らが出演。
（映画.comより）

予告編

映画『フィッシュストーリー』予告

感想・考察（ややネタバレ）

本作はオムニバス”風”の映画です。

複数のエピソードが時系列バラバラで描かれており、一見それぞれ独立していますが実は繋がっているというものです。そういう点でタラティーノの『パルプ・フィクション』にも似ているかと。

『パルプ〜』とのもう１つの共通点は、意味の無い会話(駄話)や引用だけで話が成り立っていること。会話の内容は物語を進める為にあるというよりも、登場人物のキャラクターを引き立てる為に使われています。また、駄話そのものにも魅力があります。

例えば、『パルプ〜』でのフランスのマクドナルドの話なんて物語上は全く意味の無い話ですけど、脱線した駄話として面白いから、見入っちゃうんですよね。意味はない、でもその無駄が面白い。

なので、本筋とは関係の無さそうな会話が次から次へとポンポン飛び出していく様が『パルプ〜』のような魅力的な引き出しの多さを見せていて思わず引き込まれます。面白いです！

ただし、それは本作の前半に限った話でした。
意味の無い駄話が実は全て伏線であったことが明かされるのが後半なのです。

残念ながら、この「答え合わせ」が個人的には面白くなかったんです。

意味がないからこそ面白かったのに、意味を持たせた途端に前半の良さ(勢い、ノリ)が大幅に失われてブレーキがかかったように感じました。

前半の駄話で出てきた謎が解き明かされる展開が後半にあるんですが、その真相が面白くもなんとも無い(すんません)のが観ていてしんどかったです。そんなんだったら無理に解き明かさなくてもいいよ、と。

前半は『パルプ〜』と似た魅力を持っていながらも、後半は同じような感覚で観てはいけないというわけです。
これだったら、意味の無い駄話だけで2時間を持たせて欲しかったなぁと。

「それぞれのエピソードは実は密接に繋がっていた」という点こそが作り手のやりたいことでしょうから、前半と後半の転調は納得のいくものなんですけどね。

ただ、エピソード間の密接な繋がりを重視しすぎたんじゃないかなぁ。そこをあまり目玉にしなくても、ちょっとした繋がりくらいのほうが作品のトーンには合う気がしますー。それこそ『パルプ〜』くらいのほうが。

結局のところ、本作には「勇気の連鎖」(かな？)という立派なテーマがあって、『パルプ〜』にはテーマなんか無くて駄話と引用だけで成り立っているという違いが一番大きいんですけどね。

パルプ・フィクション(安っぽい小説)とフィッシュストーリー(ほら話)。タイトルの意味は似たような感じでも、着地点の違いが好みの別れどころでしょーか。ん？僕だけか。

軽快なトーンでテンポ良く進んだ前半に比べて、後半(パンクバンドの話)は急激に話が重く、遅くなってしまうのもしんどかったかな…。