カンボジアにて開催されたJapanese Film Festival 2018にて鑑賞。
何というか、映画そのものよりも、こんな低予算映画が爆発的ヒットに拡大したという物語性が祭り上げられている気がしますね。
さて、カンボジアの観客は本作をどう観たのでしょうか?

まぁ、言いたいことは色々あるのだけど、、、
作品概要
2017年/日本/96分
監督:上田慎一郎
製作:市橋浩治
脚本:上田慎一郎
撮影:曽根剛
音楽:永井カイル
出演:濱津隆之/真魚/しゅはまはるみ/細井学 ほか
映画専門学校「ENBUゼミナール」のワークショップ「シネマプロジェクト」の第7弾として製作された作品で、前半と後半で大きく赴きが異なる異色の構成や緻密な脚本、30分以上に及ぶ長回しなど、さまざまな挑戦に満ちた野心作。「37分ワンシーンワンカットのゾンビサバイバル映画」を撮った人々の姿を描く。監督はオムニバス映画「4/猫 ねこぶんのよん」などに参加してきた上田慎一郎。とある自主映画の撮影隊が山奥の廃墟でゾンビ映画の撮影をしていたが、そこへ本物のゾンビが襲来。ディレクターの日暮は大喜びで撮影を続けるが、撮影隊の面々は次々とゾンビ化していき……。2017年11月に「シネマプロジェクト」第7弾作品の「きみはなにも悪くないよ」とともに劇場で上映されて好評を博し、18年6月に単独で劇場公開。当初は都内2館の上映だったが口コミで評判が広まり、同年8月からアスミック・エースが共同配給につき全国で拡大公開。200万人を超える観客動員を記録する異例の大ヒットとなった。
(映画.comより)
予告編
感想・考察(ネタバレなし)
よく出来た映画
噂に聞いていた通り、面白かった。
皆さんが仰る通り、脚本がよく出来ていて、伏線がちゃんと回収されるのが気持ちいい映画。
で、その伏線の回収の仕方が肝かなぁと。
「そーだったのかー!」と頭を抱えるようなサプライズではなくて、「なんだよー。しょーがねーなー笑」みたいな脱力するような「真相」なんですね。
映画は結局は絵空事。現実には上手くいかないことの方が多い。
仕事上の予期せぬトラブルの数々に悪戦苦闘する「カッコ悪さ」に対する観客の共感というのは、本作の成功の一要素ではないでしょーか。
結局、カッコイイことよりもカッコ悪いことのほうが共感を得やすいんですよね。
それでも泥臭く仕事を全うしようとするあたりが日本人らしいというか。
「お仕事映画」としての一面が印象的。
他にも、映画愛だったり、家族愛だったり、軽いノリに見えて実はテーマが重層的であるあたり、やはり本作はよく出来ていますわ。
(C)ENBUゼミナール
カンボジア人客の反応
「いぬやしき」が30人くらいしか入ってなかったのに対して、本作は満員!立ち見客もいたくらい!
そして上映中は、大・爆・笑でしたね。
というのも本作の笑いって、結構ベタというか古典的なくらいのものが多くて、それがカンボジア人の笑いのツボにうまく収まったと思われる。
具体的には、酔っ払いネタ、下痢ネタ、コケる、蹴飛ばす、というもの。
なんか小学生が好きそうなネタばかりだけど、カンボジア人はこういうベタな笑いが好きです。
本作に出ていないので言うと、ハゲネタとか、オカマネタとか。
志村けんのコント動画がFacebook でよくシェアされているような国ですから(言葉が分からなくても笑える)。
前半のワンカット部分の「アクショォォン!」なんかはかなりウケていて、「またそろそろ例のアクショォォン来るで」という声が客席のあちこちから聞こえてきましたね。
ただ、「ぽんっ!」はあまりウケてなかった…。
日本でも各劇場が笑いに包まれていて、観客の一体感が感じられるというのを読んだことがあるけど、カンボジアもまさにそんな感じ。
ただ、カンボジアでは本作に限らず、本当に面白い映画に対しては自然と笑いや歓声が巻き起こるもので、こういう一体感みたいなのは決して珍しいことではないですね。
↓みんな笑顔でした。
(Japanese Film Festival – Cambodiaより)
個人的に思うところ
観た人の圧倒的多数が本作を褒めてるんですが、僕はちょっと解せない部分があって…。
『カメ止め』はこんなに褒められているのに、
なぜ「MEG ザ・モンスター」は褒められないのか。
カンボジアに移住して早8ヶ月、様々な映画を劇場で観てきたけど、こんなに劇場内が爆笑とともに一体感に包まれたのはぶっち切りで『カメ止め』と『MEG』ですよ!
つまり、カンボジア人にとって『カメ止め』と『MEG』は同等なんですよ!!(一部思い込みあり)
だって、どちらもギャグホラーでしょ?
その一方で、日本では『MEG』に対してやれ「中国人向けだ」だの、「所詮B級だ」だの、了見の狭い感想ばかりが目立ったのは残念でならない。
実際『カメ止め』はよく練られおり、評価されて然るべき映画だけど、持ち上げられ過ぎた感はなかろうか。
それも、超低予算映画が口コミで大ヒットという「劇的展開」によって。
『カメ止め』が大々的にメディアに取り上げられるなら、他にも相応しい映画ってたくさんあると思うんですよ。
だから、本来の映画そのものの評価以上に、「映画の成功物語」がクローズアップされ過ぎている気はどうしてもするんですわな。
そうなった以上、当弱小ブログがわざわざ褒めなくてもいいだろうという気持ちにはなっちゃいますね。
↑了見が狭い!
個人的な好みで言っても、面白いけど、心には残らないタイプの映画かなと思ったり。
僕の評価
7点/10点

手放しで褒めたくはないけど、大多数の邦画よりも遥かに面白いことは確か。評価はします。
どうでも雑感
・前半の伏線を後半の異なる視点で回収するという構成は『木更津キャッツアイ』にも似てるのかなと思ったり。
鑑賞方法
『カメラを止めるな!』はU-NEXTで鑑賞できます。31日間無料トライアルキャンペーンがあるのでぜひ。
本ページの情報は2020年10月時点のものです。最新の配信状況はU-NEXTサイトにて
ご確認ください。

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