思ってたんと違う!!
高校2年生の夏、年齢詐称をして大人料金を払って本作を鑑賞した時の僕の心の叫びです(公開当時は18歳未満は鑑賞できなかった)。
大好きなキューブリックの遺作にして、セクシャルな内容であるということで、「どんなに挑発的でアンモラルな映画なんだろう」と期待に胸パンパンで観に行ったのですが・・・。

僕にとっては未だに理解が及ばぬ、解せない映画なのです。
作品概要
1999年製作/159分/R18+/アメリカ
原題:Eyes Wide Shut
配給:ワーナー・ブラザース映画
監督・製作:スタンリー・キューブリック
原作:アルトゥール・シュニッツラー
脚本:スタンリー・キューブリック/フレデリック・ラファエル
撮影:ラリー・スミス
美術:レスリー・トムキンス/ロイ・ウォーカー
衣装:マリ・アレン
音楽:ジョスリン・プーク
出演:トム・クルーズ/ニコール・キッドマン/シドニー・ポラック/トッド・フィールド/マリー・リチャードソン/アラン・カミング/マディソン・エジントン/トーマス・ギブソン/ラデ・シェルベッジア/リーリー・ソビエスキー ほか
「2001年宇宙の旅」「時計じかけのオレンジ」など数々の名作を残した鬼才スタンリー・キューブリックの遺作。19世紀の文豪アルトゥール・シュニッツラーの「夢小説」を原作に、撮影当時実際に夫婦だったトム・クルーズとニコール・キッドマンを主演に迎え、完全秘密主義で製作された。ニューヨークで暮らす内科医ウィリアムは、結婚9年目となる美しい妻アリスや6歳の娘とともに何不自由ない生活を送っていた。ある夜、ウィリアムは妻から、家族旅行中に他の男に性的欲求を感じたことを告白され激しい衝撃を受ける。性の妄想に取りつかれながら深夜の街をさまよい歩く彼は、ニューヨーク郊外の館で行われている秘密のパーティに足を踏み入れるが……。
(映画.comより)
予告編
感想・考察(ネタバレなし)
あのキューブリックが撮るのだからと、性のタブーに挑むような尖った映画を期待していたのですよ。ところがフタを開けてみると、トムクル演じる旦那が浮気に失敗するだけの話だったのです。
トムクルとキッドマンの金持ち夫婦が些細なことから口論に。
↓
奥さんは過去の浮気願望を旦那に告白。
↓
バカな旦那は「ヨッシャ、オレも浮気したる!」と夜の街へ繰り出す。
↓
ことごとく失敗。
↓
それどころか悪徳組織に脅迫される有様。
↓
奥さんに懺悔。
なにこのショボい話?
欲求不満のまま不完全燃焼に終わるのはトムクルだけでなく、観客も同じなのです。
中盤の乱行パーティーの場面こそ「キターッ!」という感はあったものの、やはり絶頂の前に寸止め。
権力者がトムクルに対して「全裸になれ」と命令する展開で、「これでトムクルがフルチンになったら、この映画は大傑作だなぁ」とワクワクしたのですが、鶴の一声でトムクルは事なきを得るのでした…。
トムクルのフルチン(トムフル)見せんのかい!
つまり、期待でムラムラさせといて、全然イカせてくれない映画なんですね。
「イカせてよ!」というトムクルと観客を嘲笑うかのようにのらりくらりとした展開の挙句、夫婦円満の秘訣で締めくくるという。「本当にキューブリックはこんな映画を撮りたかったの?」と不可解であること極まりない作品でした。
(IMDbより)
実際に本作を「解せぬ」と感じた人は多かったようで、作品の不可解を補完するような都市伝説レベルの解釈・憶測が多く存在します。
例えば…
・キューブリックではなく、トムクル、キッドマンが作品をコントロールした結果、全然違う内容になってしまった。(と、キューブリック自身が友人に打ち明けたというエピソードもあるらしい)
・キューブリックは観客のゲスい好奇心に冷や水を浴びせるために、わざとイカせない映画を撮った。彼は観客を、そしてハリウッドを馬鹿にしていたのだ。
・夢オチ説。浮気返しは旦那の無意識の願望が現れた夢である。夢だから、イクことができない。
・乱行パーティーは世界的に有名な秘密結社の実態を暴いたものである。そのため、公開前にキューブリックは秘密結社によって「消された」。
どうですか、皆さん。
僕はどの説もしっくり来ません。
結局のところ、本作はただ意味深なそぶりを見せているだけのような気がします。
当時もどの評論を読んでも納得が行かなかったので、田舎の高校二年生は本作の原作小説も読んでみました。
驚くべきことに、物語の展開は映画とほとんど同じで、且つ何を描きたいのかよくわからない空虚な感じまで似通っていたのです。
ふむふむ…。ほとんど脚色しなかったということはキューブリックはガチで「旦那の浮気失敗」を描きたかったのか…?としか思えなくなってきました。
(IMDbより)
まぁ、男としてはトムクル演じる旦那の気持ちは分かるんですよ。勢いで「今夜はオンナ遊びすっぞ!」と意気揚々と繁華街に繰り出しても、現場の空気にビビってしまいニの足を踏むという経験は皆あるはずです。
でも、その観点で言うと、大スターを起用して160分もの長尺をかけて描くような内容じゃなくね?ということになってしまいます。
じゃあ、やっぱり何か他の意味やメッセージがあるの?と勘繰りたくなるという、観客を延々と煙に撒き続ける一本です。
でもその煙は今後もずっと晴れることはないでしょうね。あまり深入りしないほうがいいかもです。
僕の評価
4点/10点

キューブリックにしては(?)かなりマトモな物語だったのですが、それでも映像的にはそれなりに魅せるのは確かだと思います。
どうでも雑感
・トムクルとキッドマンが寝室で口論する場面の演技が安っぽい感じで、観客の笑い声の入った米国テレビドラマみたいでした。
・また、トムクルは終始バカっぽい・・・。女性に愛想をふりまくニヤニヤ笑いがバカ丸出しって感じでしたね。
・このような点から、キューブリックは映画の中のこの夫婦をバカにしていたのかなぁなんて思いましたけどね。でも確信には至らないです。
鑑賞方法
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※本ページの情報は2020年11月時点のものです。最新の配信・レンタルの状況は各サイトにてご確認ください。
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