『草原に黄色い花を見つける』感想:甘酸っぱい前半が一転、不穏な後半を見せるベトナム映画

映画『草原に黄色い花を見つける』の一場面 ドラマ
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これは誰もが心をキュッと締め付けられるのではないでしょうか。
何がというと恋愛における嫉妬についてです。
そんな誰もが通るほろ苦い道をベトナムの農村を舞台に少年少女によって描かれます。

タイレンジャー
タイレンジャー

それだけでなく、後半の転調が心に引っかかるものを残します。

作品概要

原題:Toi Thay Hoa Vang Tren Co Xanh / Yellow Flowers on the Green Grass
1920年/アメリカ/120分
監督:ヴィクター・ヴー
原作:グエン・ニャット・アイン
撮影:グエン・クリン
音楽:クリストファー・ウォン/ギャレット・クロスビー
出演:ティン・ヴィン/カン・チョン/マイ・トーン/マイ・テー・ヒエップ ほか

1980年代半ばのベトナム中部フーイエン州の豊かな自然を背景に、兄弟と幼なじみの少女の恋や成長を瑞々しく描いた青春映画。ベトナムの新鋭ビクター・ブー監督がベストセラー小説を原作に手がけ、同国で大ヒットを記録し、アカデミー外国語映画賞のベトナム代表作品にも選ばれた。いつも一緒に遊んでいる仲良し兄弟のティエウとトゥオン。12歳になる兄ティエウは、幼なじみの少女ムーンのことが気になっているが、うまく思いを伝えることができない。そんなある日、ムーンの家が火事で焼け落ちてしまう。ムーンはしばらくの間、兄弟の家で過ごすことになり、ティエウの恋心はますます募っていく。しかし、ムーンはトゥオンと遊んでばかりで、嫉妬したティエウは、ある取り返しのつかないことをしてしまう。

(映画.comより)

予告編

ベトナム発、究極の初恋映画/映画『草原に黄色い花を見つける』予告編

感想・考察(ネタバレなし)

甘酸っぱく、ほろ苦い前半

何故か日本人にとっても昔懐かしく感じられるベトナムの農村風景、暮らしに心がホッコリ。痩せっぽちのお兄ちゃんと、ちょいポチャな弟の可愛い兄弟が登場。図らずも、この2人と1人の少女が男女関係のもつれに発展。

僕も本作の主人公と同じく、弟が1人いる長男なので、兄ティエウ君の気持ちはよく分かる。兄は如何なることがあっても弟には負けたくないのだ。兄としての尊厳を保とうという本能はどんなに幼くても、ある。それを保つ為なら、不正も厭わない(可愛いレベルで)。

ましてや、弟に自分の女を奪われるなんて、兄としては耐え難いことこの上ない(急に生臭い話)。
でも、弟のことは大事に思っている。本作の弟トゥオン君は本当に兄思いでいい子だ。それが、兄としては余計に辛い。

兄ティエウ君はそんな気持ちに引き裂かれるかのように、素直になれなくて逆噴射。嫉妬のあまり2人を遠ざける。嫉妬に狂う男ほど見苦しいものは無いぞ、と兄ティエウ君に声をかけてあげたくなる。
誰もが経験した少年少女時代の初恋と嫉妬が丁寧に描かれていて好印象な前半だった。あ〜甘酸っぱいくて、ほろ苦い!心が痛む!

ムーンちゃんが美少女というほどでもなく普通っぽいのもヨカッタですね。

映画『草原に黄色い花を見つける』の一場面

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後半は一転して…

さて、そんな素朴な農村で
突然の不穏な展開…

森の奥に、村人たちが恐れる存在が!
兄ティエウ君が恐る恐るその場所へ足を踏み入れる…

思わず
この人が登場するんじゃないか

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と必要以上にハラハラしてしてしまった。
そう!この「謎の日本人」は韓国の農村に移り住む前はベトナムに潜伏していたのだっ…なんてね。前半は少年少女の純朴な恋愛、後半はオカルトホラーな展開なんて超傑作だよ!

ま、そうなるはずは無いのだけど(國村準さんは出てません)、それでも前半とは異質な展開にはちょっと驚き。

この急展開はちゃんと前半に伏線があったにも関わらず、唐突な印象を与えるもので、観る者の感情を全然違う方向に揺さぶる。ネタバレなので書かないけど。

ただ、この展開は脚本のドタバタ感があって「何だったの?」という気もする。もうチョット時間配分をうまく調整するともっと良くなると思う。

でも最後の最後にはちゃんと本筋に戻って、伏線を回収するキレイな終わり方でお見事!
後半の展開が何を意味するかというと、傷ついた人々と触れ合うことで兄ティエウ君が精神的に大人になるってことかな。相手の気持ちを考えない人は大人とは言えないから。

(画像は映画.comより引用)

僕の評価

7点/10点

タイレンジャー
タイレンジャー

地味な内容ながらも好感の持てる作品でした!

どうでも雑感

・主人公の父親が家畜の牛を村人に売るという描写があったけど、これは大変なことだ。ベトナムでは牛とバイクは同じくらいの価値で、高額。もともとお金が無いのに大事な財産を売り払っていく辛さがこのシーンには込められている。多くのベトナム人はこのシーンの辛さがよく分かるんじゃないかな。

・エンドロールのアニメーションは完全に蛇足だった。本編の世界観とはかけ離れた内容になっているせいで、ラストの余韻が無くなってしまったのが残念。

・本来は前半だけでもまぁまぁ収まりの良い話なんだけど、後半に予想外のピリリとくる展開を持ってきたことで起伏のある映画になったと思う。ベトナム映画ぁ〜?と侮らず、観て欲しい。素直に良い映画です。國村さんのことは忘れてください。

鑑賞方法

『草原に黄色い花を見つける』はU-NEXTで鑑賞できます。31日間無料トライアルなのでぜひ。
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