ベトナムがフランスの植民地だった頃のお話。
(フランスから見て)エキゾチックなベトナムを舞台に、男女の愛憎劇を描いたらいい感じじゃな~い?という作り手の魂胆が見え隠れする映画です。

個人的にはベトナム側に肩入れしたくなります。
作品概要
原題:Indochine
1992年/フランス/159分
監督:レジス・ヴァルニエ
脚本:レジス・ヴァルニエ/ルイ・ガルデル/エリック・オルセンナ/カトリーヌ・コーエン
撮影:フランソワ・カトンネ
音楽:パトリック・ドイル
出演:カトリーヌ・ドヌーヴ/ヴァンサン・ペレーズ/リン・ダン・ファン/ジャン・ヤンヌ ほか
仏領インドシナを深く愛したフランス人女性が母として支配者として悲しい運命を辿っていく姿を描く一大歴史絵巻。監督・脚本は「罪深き天使たち」のレジス・ヴァルニエ、製作はエリック・ウーマンとジャン・ラバディ、共同脚本はルイ・ガルデル、エリック・オルセンナ、カトリーヌ・コーエン、撮影は「夏に抱かれて」のフランソワ・カトンネ、音楽は「ヘンリー五世(1989)」のパトリック・ドイルが担当。
(映画.comより)
予告編
感想・考察(ネタバレなし)
上からフランス人たちが異国の地で愛憎劇
1930年代、フランスの植民地支配下にあった現在のベトナムが舞台。仏領インドシナなんていう言い方もあるけど、それはフランス側から見た一方的な呼称。インドと支那(中国)の間にあるから、インドシナなんて言い方はその土地のアイデンティティをまるで無視した上から目線だ。
サイゴン(現ホーチミン)近郊でゴム農園を営む女性を演じるのがカトリーヌ・ドヌーヴ。撮影当時は47歳かな?今で言う美魔女というやつで、彼女よりもっと若いヴァンサン・ペレーズ演じる将校との恋も無理がない。いや、むしろ絵になる。
2人はやがて破局に至るのだけど、その後はドヌーヴの義理の娘(ベトナム人)と将校が恋に落ちて駆け落ちしちゃうから、さぁ大変!という話。
てか、美魔女の次にその娘に手を出すとか、どんだけ節操無いんだよ笑。甘いマスクのヴァンサン・ペレーズだから綺麗に描かれてるけどさ。
でも、登場人物はみな上流階級なので、話としては宝塚っぽいというか。オバサマに好まれそうな感じだ。いや、宝塚は見たことないから、イメージで言ってるだけなんですけどね。本作が宝塚でミュージカル化されても違和感は無いと思う (無責任な提案)。
本作の一年後に公開されたオリヴァー・ストーンの『天と地』がベトナム人の一般ピープルを主人公にしているのとは対照的に、本作はやはりどこか上から目線なフランス映画だった。一部の高圧的なフランス人に対する批判を込めた描写もあるんだけどね。
異国情緒溢れる土地での愛憎劇というのはロマン溢れるけど、ベトナム人の立場からしたら、侵略・支配をする人間たちの身勝手な色恋沙汰でしかない。
ま、現代のベトナム人は「それは昔のこと」と、あっけらかんとしてると思うけどね。
しかし、ベトナムでのロケは一見の価値あり
ストーリー展開は冗長なのだけれど、本作の魅力はズバリ、ベトナムでのロケだ。
米国の映画がベトナムで撮影できるようになったのはつい最近の話で、『キングコング 髑髏島の巨神』が初めてだと思う。米国製作のベトナム戦争映画の9割はフィリピンやタイで撮影されていると聞く。そういう意味では同作は画期的だった。
が、フランス映画に対してはこの時代から既に寛容だったようで、本作はバリバリ現地ロケができている。最も印象的に描かれているのはハロン湾。
ハロンとは、ベトナム語で「龍が舞い降りる」というような意味。その複雑に入り組んだ地形から、昔は海賊の隠れ家でもあったらしい。今ではベトナム随一の観光地だけど、仏領時代の本作の中では、ほぼ独り占め状態な様子。さぞかしロマンを感じるでしょうな〜。
あとは「陸のハロン湾」ことタムコックも。ここは『キングコング 髑髏島の巨神』でもロケされています。そのほかに、タムコックのすぐ近くにある寺院ビックドンや、フエの王宮、ホーチミンのコンチネンタルホテルなんかも使われているように見える。
1992年の作品なので、CGは一切使われていないはず。全てが実写、ロケならではの力強い画で見応えがあるな~。
(画像はIMDbより引用)
僕の評価
5点/10点

見応えはありますけどね。物語そのものは「勝手にやっとれ」と言いたくなる部分もあります(笑)。
どうでも雑感
・なんだかんだでカトリーヌ・ドヌーヴの横綱相撲な演技で間が持ちます。彼女が出ているだけでグッと求心力のある映像になります。
鑑賞方法
『インドシナ』はU-NEXTで鑑賞できます。31日間無料トライアルなのでぜひ。
(2020年10月時点)

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