『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』感想:ロッキーになり損ねたトーニャ

映画『アイ、トーニャ』の一場面 ドラマ
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トーニャ・ハーディングという人は育ちが悪いながらも、アメリカンドリームを実現できるだけの素質を持っていた人だったんですよねぇ。

ただ、自らそのチャンスをフイにしてしまうんです。または周囲の良質なサポートを得られなかったことも大きいでしょうね。

なぜ、トーニャはロッキーになり損ねたのでしょうか。

タイレンジャー
タイレンジャー

週刊誌的な好奇心を満たしてくれる素晴らしい映画です。

作品概要

原題:I, Tonya
2017年/アメリカ/120分
監督:クレイグ・ギレスピー
脚本:スティーブン・ロジャース
撮影:ニコラス・カラカトサニス
音楽:ピーター・ナシェル
出演:マーゴット・ロビー/アリソン・ジャネイ/セバスチャン・スタン/ポール・ウォルター・ハウザー ほか

アメリカ人のフィギュアスケート女子選手として初めてトリプルアクセルに成功し、1992年アルベールビル、94年リレハンメルと2度の冬季五輪にも出場したトーニャ・ハーディングのスキャンダラスな半生を、「スーサイド・スクワッド」のハーレイ・クイン役で一躍世界的にブレイクしたマーゴット・ロビー主演で描いたドラマ。貧しい家庭で厳しく育てられたトーニャは、努力と才能でフィギュアスケーターとして全米のトップ選手への上り詰めていく。92年アルベールビル五輪に続き、94年のリレハンメル五輪にも出場するが、92年に元夫のジェフ・ギルーリーが、トーニャのライバル選手を襲撃して負傷させた「ナンシー・ケリガン襲撃事件」を引き起こしたことから、トーニャのスケーター人生の転落は始まっていた。プロデューサーも兼ねてトーニャ役で主演したロビーは、スケートシーンにも挑戦。母親役のアリソン・ジャネイが第90回アカデミー賞の助演女優賞を受賞した。元夫のジェフ・ギルーリー役は「キャプテン・アメリカ」シリーズのセバスチャン・スタン。監督は「ラースと、その彼女」「ミリオンダラー・アーム」のクレイグ・ギレスピー。

映画.comより)

予告編

女子フィギュア史上最もスキャンダラスな事件『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』予告編

感想・考察(ネタバレなし)


オラオラオラァ!

貧乏で無学で下品なオネーチャンがお上品なフィギュアスケート界に殴り込みだぜい!

と、だけ書くと「そういうコメディ映画よくあるよねー」と思ってしまいがち。「主人公は最初は馴染めなくて対立するけども最後は上手くいくんでしょ?」なんてパターン化された展開までつい想像してしまう。

そういう「お門違いの傍若無人キャラが、お堅い世界に足を踏み入れて、反発を受けながらも互いに理解を深め、保守的な世界の風通しを良くする」パターンの話って時代を問わず人気ですよね。

『サウンド・オブ・ミュージック』から『スラムダンク』まで。

痛快なんですよ。型を破っていくのが。敵が味方になるのが。

ところが、トーニャ・ハーディングはぜーんぜんそのパターンじゃない。型破りな彼女は最初から最後まで憎まれ役で、フィギュアスケート界との溝は深まり、終いには協会から追放されてしまう。

トーニャがシンデレラストーリーを成し得なかったのは周知の通り。むしろ、世間からは疑われ、徹底的に叩かれた。

別のアプローチで考えるなら、トーニャだって『ロッキー』のように貧しくて育ちが悪くて周りがクズばかりでも、アメリカンドリームを掴み取ることだってできたはず。

でも、トーニャはロッキーにもなれなかった。

決定的な要因はかの有名なナンシー・ケリガン襲撃事件だけど、そこに至るまでも色々ありまして、彼女の生い立ちから本作は描かれます。

トーニャにはフィギュアスケートの才能があり、人並み外れたフィジカルもあった。(史上2番目にトリプルアクセルを成功させる)。

しかし、家庭環境には恵まれなかった。

母親から受けた教育は殴られる蹴られる罵声を浴びせられる。

夫からも殴られ、トーニャを夫を殴り返す。

…と書くと、重ーい映画のように聞こえるけど、基本はブラックコメディ。

笑えるエピソードの連続の中にも、ロッキーにはあって、トーニャには無いものが浮かび上がってくる。

本作は本当にバランス感覚が優れている。悲惨な生い立ちすらも重すぎず笑える描写になっているし、例の事件に対する観客の下世話な好奇心を満たしつつもフィギュアスケートの競技としてのダイナミズムもきちんと描いているし、トーニャ自身は色々問題はあれど、彼女の唯我独尊ぶりは痛快ですらある。

本作が事実とどれくらい相違があるかなんて問題じゃないでしょう。忌まわしい事件を映画ならではの表現でブラックにチャーミングにまとめ上げていることに僕は感激しましたよ!

「お門違いの人間が保守的な組織や世間を変える物語」は現実には失敗に終わった。

けど、お決まりの成功パターンよりも、トーニャの失敗のほうが物語として遥かに魅力的だったと思う。

僕の評価

8点/10点

タイレンジャー
タイレンジャー

しくじったトーニャですが、批判にも耐え、しぶとく生き残ろうとする姿に勇気をもらえる自分がいます。

どうでも雑感

・襲撃事件と靴紐騒動のイメージばかりが記憶に残るリレハンメル五輪だけど、結局トーニャは8位、「悲劇のヒロイン」役のナンシー・ケリガンは銀メダルだったそう。

金メダルをかっさらったのは弱冠16歳のウクライナ人、オクサナ・バイウル。

表彰台で感涙のバイウルに対し、横のケリガンが「メソメソしてんじゃねーよ」と意地悪な言葉を浴びせたらしく、ケリガンもまた評価を落としたという後日談はあまり知られてないよーです。こういう女同士のネチネチバトル、好きだわ~。

鑑賞方法

『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』はU-NEXTで鑑賞できます。31日間無料トライアルキャンペーンがあるのでぜひ。
本ページの情報は2020年10月時点のものです。最新の配信状況はU-NEXTサイトにて
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