『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』感想:トムの過剰なサービスも限界では

映画『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』の一場面 アクション
(C)2018 Paramount Pictures. All rights reserved.
この記事は約5分で読めます。

核攻撃を阻止すべく、イーサン・ハントのチームが不可能なミッションに挑む。
↑これ、何度目だ。って感じですが、トムがスタアである限りは続くんでしょうなぁ。
個人的にはクリストファー・マッカリー監督の路線が好みではありません。

タイレンジャー
タイレンジャー

はいはい「今回もトムがスタントなしでやりました!」ですね。分かってますよぉ。

作品概要

原題:Mission: Impossible – Fallout
2018年/アメリカ/147分
監督:クリストファー・マッカリー
脚本:クリストファー・マッカリー
撮影:ロブ・ハーディ
音楽:ローン・バルフェ
出演:トム・クルーズ/ヘンリー・カヴィル/ヴィング・レイムス/サイモン・ペッグ/レベッカ・ファーガソン ほか

トム・クルーズ主演の人気スパイアクション「ミッション:インポッシブル」シリーズ第6作。盗まれた3つのプルトニウムを回収するミッションについていたイーサン・ハントと仲間たちだったが、回収目前で何者かによりプルトニウムを奪われてしまう。事件の裏には、秘密組織「シンジケート」の残党が結成した「アポストル」が関与しており、手がかりはジョン・ラークという名の男だった。ラークが接触するという謎めいた女、ホワイト・ウィドウに近づく作戦を立てるイーサンとIMFだったが、イーサンの動きに不信感を抱くCIAが、監視役として敏腕エージェントのウォーカーを送り込んでくる。イーサンは疑惑の目を向けるウォーカーを同行しながら、ミッションを遂行するのだが……。シリーズを通してさまざまなスタントに挑んできたクルーズが、今作でも、ヘリコプターを自ら操縦してアクロバット飛行にも挑戦するなど、数々の危険なスタントをこなした。前作に続いてクリストファー・マッカリーがメガホンをとり、シリーズで初めて2作連続の監督を務めた。共演はシリーズおなじみのサイモン・ペッグ、ビング・レイムス、前作から続けて登場するレベッカ・ファーガソンのほか、ウォーカー役で「マン・オブ・スティール」のヘンリー・カビルが初参戦した。

(映画.comより)

予告編

『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』本予告

感想・考察(ネタバレなし)

浮世離れしたスタア、トム・クルーズ

前作『ローグ・ネイション』もそうだったけど、観る者がこのシリーズに何を求めているかが本作を評価するポイントの1つだと思う。

僕個人としてはこのシリーズに派手なアクションよりも、ハラハラドキドキのサスペンスを求めている。一作目のトム宙吊りシーンや『ゴースト・プロトコル』のクレムリン潜入シーンのような、危険な場所に潜入→見つかったら殺される、というシチュエーションだ。

敵の目を掻い潜れなかったり欺けなかったら、死というヒリヒリ感はスパイ映画の醍醐味。あくまで僕にとっては、ですが。

オリジナルの「スパイ大作戦」だってアクションが売りではなくて、個性派集団によるチームワークと頭脳戦、ガジェット的な面白さがその魅力だと思う。なので、2作目や5作目のように、サスペンス要素が薄くてアクション重視だと僕はあんまり乗れない。

監督が前作から続投した今回は当然、前作の方向性を踏襲している。あ、またそっちなんだ。僕が好きなのはそっちじゃないんだよなぁ〜と思いながら鑑賞。ただ、これは作り手が悪いのではなく、個人の好みの問題。

4作目『ゴースト〜』がサスペンス、アクション、チームワークなど、バランスに優れたシリーズ最高傑作だったけど、このバランスを継続しなかったのは良くも悪くもトムの過剰なサービス精神ゆえでしょうかー。

ブルジュハリファに登ったら、ウケた!じゃあ、次は飛行中の航空機にしがみついついちゃうよっ!もっとウケた!更に過激に、スカイダイビングしちゃうよっ!
てな感じでしょーか。トムが身体を張るという点にどんどん特化していってますね。
それに対しては世間の評判も良く、興行的にも成功しているので、それはそれで正解だったのだと思う。

だがしかーし、トムがスタント無しで身体張るってのを目玉にするにはそろそろ限界でないかね?もちろんアクション的には見応えがあるけど、撮影時はトムのスタントが成功した(少なくとも死んでない)ことが分かっている以上、そのアクションそのものには生きるか死ぬかのサスペンスは無いのだ。
トムが現実にやっていることが、フィクションを越えようとしているのだから、映画の中でトムが生きるか死ぬかより、撮影でトムが生きるか死ぬかという面の方が遥かにサスペンス。

だとしたら、もう映画じゃなくてテレビ番組のほうが適している?またはスポーツイベント的な?レッドブルがよく出資しているようなエクストリーム系のイベントとかね。

本作がトムのスタント無しアクションありきで、物語は添え物、と指摘されている方が多いなら、いっそのこと次回作はトムの密着ドキュメンタリーの方が面白そう、とか考えてしまう。トムって『筋肉番付』とか『SASUKE』とかに出ても違和感無さそうだもんなぁ。

色々と皮肉っぽいことを書いてしまったけど、作品への僕の評価とは別に、トムが映画スターとして再び評価されていることは嬉しく思う。10年くらい前は「イタい人」というレッテルを貼られ世間とのズレをネタにされる不遇の時代を過ごしていたからだ。

でも、トムはブレなかった。浮世離れしたスター性はそのままに。時代が移り変われど、トムはスターであることを決してやめない。

ある意味、そういう時代遅れ感が世間との温度差を生む要因だったりするのかも?トムとは現代に生き残る恐竜のような人だなーと思う。決して悪い意味ではなく。

僕の評価

5点/10点

タイレンジャー
タイレンジャー

チーム戦としてバランスが取れていれば良いのですが、トムの独壇場になると魅力減ですなぁ。

どうでも雑感

・カンボジア、シェムリアップのシネコンにて鑑賞。土曜の夜ということもあり、大勢のカンボジア人の若者が集結し、ほぼ満席。アクションシーンには「うーっ!」とか「わーお!」と歓声が飛び交い、ギャグには爆笑。楽しい上映環境だったな。

鑑賞方法

『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』はU-NEXTで鑑賞できます。31日間無料トライアルなのでぜひ。
(2020年10月時点)

コメント