『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』酷評!自己模倣に回帰

映画『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』の一場面 SF
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前作『最後のジェダイ』もかなり酷かったのですが、本作は異なるベクトルで更に酷い作品になりました。

すべてが最悪であったディズニーSWの集大成、と言うか残りっカスみたいな映画です。

今回はディズニー3部作の総括も含めて、本質的に抱えている問題について書きます。

タイレンジャー
タイレンジャー

結局は作る必要の無かった3部作です。

作品概要

2019年製作/142分/G/アメリカ
原題:Star Wars: The Rise of Skywalker
配給:ディズニー
監督:J・J・エイブラムス
製作:キャスリーン・ケネディ/J・J・エイブラムス/ミシェル・レイワン
脚本:J・J・エイブラムス/クリス・テリオ
撮影:ダン・ミンデル
音楽:ジョン・ウィリアムズ
出演:デイジー・リドリー/キャリー・フィッシャー/マーク・ハミル/アダム・ドライバー/ジョン・ボヤーガ/オスカー・アイザック/アンソニー・ダニエルズ/ナオミ・アッキー/ドーナル・グリーソン/リチャード・E・グラント ほか

「スター・ウォーズ」の新たな3部作としてスタートした「スター・ウォーズ フォースの覚醒」(2015)、「スター・ウォーズ 最後のジェダイ」(17)に続く3部作の3作目。「スター・ウォーズ」サーガのエピソード9にあたり、1977年のシリーズ1作目から計9作品を通して語られてきたスカイウォーカー家の物語が完結する。ファースト・オーダーの最高指導者となったカイロ・レンは銀河各地に勢力を広げていき、その中で銀河の未知の領域にある惑星エクセゴルにたどり着く。そこでカイロ・レンは、かつての銀河帝国皇帝であり、死んだと思われていたパルパティーンの秘密を目の当たりにする。一方、レジスタンスのレイア・オーガナ将軍の下でジェダイとして修行を積んでいたレイは、スパイからもたらされた「パルパティーンが生きている」という情報の真偽を探るため、フィンとポー・ダメロン、チューバッカら仲間とともに砂漠の惑星パサーナへと向かうが……。「フォースの覚醒」を手がけたJ・J・エイブラムスが再びメガホンをとり、主人公のレイを演じるデイジー・リドリーほか、ジョン・ボイエガ、アダム・ドライバー、オスカー・アイザックら3部作の主要キャラクターを演じてきたキャストが集結。初期3部作の「スター・ウォーズ 帝国の逆襲」(80)、「スター・ウォーズ ジェダイの帰還」(83)に登場した、ビリー・ディー・ウィリアムズ演じるランド・カルリジアンが再登場するほか、シリーズを通して重要な役割を担ってきた、16年12月に急逝したキャリー・フィッシャー演じるレイア・オーガナも、「フォースの覚醒」製作時に撮影されていたものの未使用だった映像を用いて登場する。

映画.comより)

予告編

映画『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』最後の予告編

感想・考察(ネタバレなし)

まずはディズニーSWを総括

沈みゆく船を眺めに行くような気持ちで劇場に足を運びました。 

僕は『フォースの覚醒』から本作に至るシークェル三部作(7,8,9)全てがスター・ウォーズにおいては完全なる蛇足だと思っています。 結局のところ、これらは大義のない続編なのです。

物語としては1〜6で綺麗に完成されており、その後の物語を作る必要は無かった。もし「金儲け」を「大義」と定義するなら話は別です。 もちろん集客が見込めるのなら、続編を作ることはビジネスとしは正しい選択でしょう。

しかしながら、クリエイティブな面や技術において常に新しいものを生み出してきたSWの1〜6に対して、その意義は7〜9には観られません。 1〜6は革新と共にあり、7〜9は自己模倣と共にありました。つまり、7〜9はビジネスこそが至上目的であって、それを達成する為の手段として4〜6の自己模倣に徹したように思えます。 

しかし『フォースの覚醒』における4〜6の「なぞり書き」が目論み通りの大ヒットを飛ばします。ディズニーの読み通り、大衆は自己模倣するSWに狂喜乱舞するものであると証明されました。 

その後の『最後のジェダイ』は自己模倣のレールに乗っかりながらも敢えて脱線を試みる野心作でしたが、根本的に「革新」というものを履き違えていました。結果的に傷つけてはいけない人(たち)を傷つけてしまった為、遺恨の残る作品になりましたね。 

その反動あってか、今回の『スカイウォーカーの夜明け』では見事なまでに自己模倣に回帰しています。それも、なぞり書き純度が極限にまで高まっており、それ以外には何も中身の無い作品になってしまっているのです。 

僕なりに7〜9の3部作を総括するとそんな感じです。蛇足なのにこんなに儲かる映画も珍しいです。 「SW、42年間の歴史に幕。お疲れ様でした」というような感想も見受けられますが、僕にとっては製作年代順で言うと3でSWの歴史は終わっているので、「余計なものを3作も作りやがって」という気持ちですね。

映画『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』の一場面

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不満点を挙げてみましょう

さて、ここからは本作の細かい点について触れます。決定的なネタバレは書いてないつもりですが、気になる方は飛ばしてください。 

自己模倣に回帰と書きましたが、具体的にはまたしても「宇宙の隠し子騒動」です。これ、まだやるん? 

序盤は展開が早くて悪くなかったのですが、すぐに隠し子騒動の前フリの連打となります。結局その話がメインになるんかい…と前半の時点で大きく落胆。 

あと、終盤の展開はEP6の丸写し。パルパティーンが宇宙空間におけるレジスタンスの劣勢をレイに見せつける部分なんか、そのまんま過ぎて椅子から滑り落ちそうになりました。 

そして… そのキスは要らん① 
↑ネタバレだから言えないけど、無理矢理でした。 

そのキスは要らん② 
↑歓喜に包まれるレジスタンスの中、女性同士のキスがこれ見よがしに写ります。「ポリティカルコレクトネスやってます」というディズニー社の優良企業アピール。 

いちばん最後の舞台も「やっぱり…」。それはもう3でやってるから、さすがにクドイぞ。 

そしてレイの最後の一言も… 分かりきったことを勿体ぶって言わすな!2019年、最大の失笑場面でした。 

もう後半からは「はよ終われー!早くトイレ行きてぇー!!」の一心のみで非常に辛い時間を過ごしましたとさ。 

ジョージ・ルーカスの遺産が食い潰されるのをまざまざと見せつけられる最終作でした。 

映画『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』の一場面

(C)2019 Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved.

自己模倣は停滞である

最後に、本作を評価する上で前作の『最後のジェダイ』とどのように比較するかについても書いておきます。 

小話になりますが、僕がまだ学生だった頃です。

僕は旅行先のベトナムにて特異な風貌の日本人旅行者と知り合いました。 長髪にモジャモジャの髭、丸メガネと、後期のジョン・レノンを彷彿とさせる男だったのです。 

偽レノンはその中身も破天荒で、欧米人を前にして「アイ ラブ ヒトラー!」と発言して場を凍りつかせるような人物でした。 

彼にその発言の真意を尋ねたところ、彼はこう答えました。「安定は停滞だ。変革の意志を持ち、それを実効できる人が好きなのだ」と。 そして「たとえ、それが悪い結果であろうとも」と、彼は付け加えました。 

思うに『最後のジェダイ』は悪い結果に終わりましたが、変革の意志を感じさせるという点で、偽レノンの基準では評価されるはずです。だから、僕もその気概だけは買って1点としました。 

一方の本作は自己模倣という安定を目指して作られた分、志は低いと見なします。 自己模倣は停滞なのです。

僕の評価

0点/10点

タイレンジャー
タイレンジャー

ファンの間でも1〜3には否定的な人が少数ではなくて、その反動で7〜9が評価されているのだと思いますが、僕は1〜3は大好きなので、そこの価値観の違いは大きいですね。

どうでも雑感

・結局は3部作通しての物語を決めずに見切り発車で7を作り始めたんでしょうね。結果として物語は行き当たりばったり感の強い展開になってしまいました。

鑑賞方法

『スター・ウォーズ スカイウォーカーの夜明け』は下記のVOD(ビデオ・オン・デマンド)にて配信中です。

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※本ページの情報は2020年11月時点のものです。最新の配信・レンタルの状況は各サイトにてご確認ください。

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