『1917 命をかけた伝令』過程か、結果か。クリストファー・ノーラン化するサム・メンデス

映画『1917』の一場面 アクション
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結論から言うと、つまらなかったです。

ワンカット風の映像のカタルシスがあったのは前半までです。

結局のところ、物語よりも技術に偏重しているのが難点だと思うのでその辺について書いていきます。

タイレンジャー
タイレンジャー

そもそも全編ワンカットってそんなに重要?

作品概要

2019年製作/119分/G/イギリス・アメリカ合作
原題:1917
配給:東宝東和
監督:サム・メンデス
脚本:サム・メンデス/クリスティ・ウィルソン=ケアンズ
撮影:ロジャー・ディーキンス
音楽:トーマス・ニューマン
出演:ジョージ・マッケイ/ディーン・チャールズ・チャップマン/マーク・ストロング/アンドリュー・スコットクレア・デュバークリチャード・マッデン/コリン・ファース/ベネディクト・カンバーバッチ ほか

「007 スペクター」「レボリューショナリー・ロード 燃え尽きるまで」などで知られる名匠サム・メンデスが、第1次世界大戦を舞台に描く戦争ドラマ。若きイギリス兵のスコフィールドとブレイクの2人が、兄を含めた最前線にいる仲間1600人の命を救うべく、重要な命令を一刻も早く伝達するため、さまざまな危険が待ち受ける敵陣に身を投じて駆け抜けていく姿を、全編ワンカット撮影で描いた。1917年4月、フランスの西部戦線では防衛線を挟んでドイツ軍と連合国軍のにらみ合いが続き、消耗戦を繰り返していた。そんな中、若きイギリス兵のスコフィールドとブレイクは、撤退したドイツ軍を追撃中のマッケンジー大佐の部隊に重要なメッセージを届ける任務を与えられる。戦場を駆け抜ける2人の英国兵をジョージ・マッケイ、ディーン・チャールズ=チャップマンという若手俳優が演じ、その周囲をベネディクト・カンバーバッチ、コリン・ファース、マーク・ストロングらイギリスを代表する実力派が固めた。撮影は、「007 スペクター」でもメンデス監督とタッグを組んだ名手ロジャー・ディーキンス。第92回アカデミー賞では作品賞、監督賞を含む10部門でノミネートされ撮影賞、録音賞、視覚効果賞を受賞した。

映画.comより)

予告編

『1917 命をかけた伝令』予告

感想・考察(ネタバレなし)


「キミ、仕事で大事なのは過程ではなく、結果やからね」

以前に勤めていた会社で社長に口酸っぱく言われた言葉です。どれだけ頑張って取り組んだかではなく、成果を見せろということですね。

映画もまた、どのように作られたかよりも、面白いかどうかのほうが重要です。

本作は「全編ワンカット」というふれこみで、どのように撮影し、それがいかに困難であったかをアピールする宣伝動画も展開されており、そのワンカットの手法が注目を集めています。

『1917 命をかけた伝令』特別映像 "驚異のワンショット撮影"

ですが、本作が面白いか面白くないかで言ったら、僕は全く面白くなかったです。

まず「全編ワンカット」にした意図はある程度理解できます。人生はカットなしの連続的なものだから、その時間の流れと視点を用いて観客に戦場のリアル体験をしてもらう、ということだと思います。
サム・メンデス監督が言うように「毎秒、一歩、息づかいを感じてほしい」ですね。これまでに無かった手法で戦争を限りなくリアルに体感できる映画を目指しているようです。

ですが、『ダンケルク』の時も同じように感じたことで、戦場をリアルに描こうとすればするほど、映画としては面白くなくなるんですね。

というのも、『ダンケルク』も本作も映像表現には拘ってはいるものの、物語性は弱いですからね。かたや敵が来る前に逃げるだけ、かたや伝令しに行くだけ、です。

だから、その映像表現がハマるかハマらないかが、観客の作品の好みの別れどころになりそうな気がします。

「全編ワンカット」という手法についてはもはや目新しいものではなく、数年前に『バードマン』がありましたし、今の技術をもってすればさほど困難ではないことは分かりきっています。

※「全編ワンカット」と言ってますが、本作は『バードマン』と同様にあくまでワンカット”風”ですからね。全編ワンカット!と言われてしまうと、逆に「今のシーン、カット割っただろ!」みたいな粗探しの精神を発揮してしまう僕は天邪鬼ですが。

ワンカット風の映像に感心するのは前半までで、見慣れてきた後半は退屈に感じてしまいました。それはやっぱり物語の展開が弱いからですね。

『ダンケルク』と言えば、サム・メンデスは確実にノーラン化してきてますよねぇ。『スカイフォール』は『ダークナイト』の影響を受けているとされていますが、本作もやはり『ダンケルク』に…。
戦争をリアルな映像体験でというだけでなく、「限られた時間の見せ方」に大きな特徴があるというのが最大の共通点ですかね。

『ダンケルク』:
ドイツ軍が攻めて来るまでの1週間以内に撤退しなければ、全滅。
→陸海空で1週間、1日、1時間という時間を並行して描く。

『1917』:
丸一日で伝令を届けなければ、味方は全滅。
→丸一日という時間をワンカット風に見せる。

そういうコダワリがある割には面白くない、というのまで似せなくて良かったんですが(個人的な感想)。

なぜノーラン化するのかは謎ですが、サム・メンデスには『アメリカン・ビューティー』のような毒のある映画をまた撮って欲しいんですがねぇ。

本作は物語としては普通に「いい話なだけ」なので、圧倒的に物足りなかったです。きれいな戦争映画ですね。僕はきったなぁぁぁいタイプの戦争映画が好きなので。

僕の評価

3点/10点

タイレンジャー
タイレンジャー

画作りは綺麗ではあるものの、話がつまらない・・・。

どうでも雑感

・ちょっと物語に工夫がなさ過ぎてどうなんだと思っちゃいました。赤ちゃんのシーンなんかは取って付けた感があって何だかなぁと。

鑑賞方法

『1917 命をかけた伝令』は下記のVOD(ビデオ・オン・デマンド)にて配信中です。

・U-NEXT |31日間無料トライアルキャンペーン実施中

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※本ページの情報は2020年11月時点のものです。最新の配信・レンタルの状況は各サイトにてご確認ください。

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コメント

  1. じんちゅ より:

    2020ワースト一位の記事からとんできました。

    というのも、評価が高かったアマプラでたまたま観たんですが、いまいち良さがわからなくって、“今時はこういう映画が高評価になるんだぁ”といろいろ考えてしまいまして。

    けど、タイさんの記事を読んで、まさにその通りだと思いました。

    リアルを追求したんでしょうが、あまりに淡々とすすむので見ていても長く感じる。

    良かった点は最後の最後で戦死した伝令係の兄とのやりとりでしたが、あそこももう少し工夫できないかなぁ、と思いました。

    この監督、スカイフォールの監督なんですね、たしかに、あれはどう見てもノーラン版のバットマンを意識して作られてると思ったし、なんとなくノーランっぽい映画づくりですね。一方、アメリカン・ビューティーはなかなか面白かったのになぁ。

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    • じんちゅさん、あけましておめでとうございます!
      おお~、じんちゅさんもイマイチと感じられましたか。
      結局、どんなジャンルの映画でもそうですが、写実的であればあるほど、映画としてのダイナミズムは失われてしまうんですよね。
      本来は年間ワーストというほどでもないですが、こういう映画ばかりが評価されるようになったら嫌だなという念からワースト1位に選びました。

      サム・メンデスは人間を描くことよりも、技巧重視の映画作家になりつつあると思うので、もう『アメリカン・ビューティー』のような作品は作らないんですよね。残念ですが。

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