『野性の呼び声』疑似SW!ハン・ソロとチューバッカのアラスカ冒険紀行

映画『野性の呼び声』の一場面 ドラマ
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米国では非常に有名な小説が原作であり、何度目かの映画化にあたりますが、ハリソン・フォードが主演で大型犬とコンビを組むというのが何とも確信犯的だな~と思いました。

もちろん、犬好きな人の涙腺を刺激するようなポイントがいくつもあるのですが、スター・ウォーズ好きにもオススメしたい一本です。

タイレンジャー
タイレンジャー

そう、これは疑似スター・ウォーズなのです。

作品概要

2020年製作/99分/G/アメリカ
原題:The Call of the Wild
配給:ディズニー
監督:クリス・サンダース
原作:ジャック・ロンドン
脚本:マイケル・グリーン
撮影:ヤヌス・カミンスキー
音楽:ジョン・パウエル
出演:ハリソン・フォード/ダン・スティーヴンス/オマール・シーカレン・ギラン/ウェス・ブラウン ほか

ハリソン・フォードが主演を務め、アメリカの文豪ジャック・ロンドンが1903年に発表し、過去にも映画化されたことのある名作冒険小説を新たに映画化。地上最後の秘境アラスカで地図にない土地を目指し、ひとり旅する男ソーントンが、犬ぞりの先導犬としてアラスカにやってきた犬のバックと出会う。やがてソーントンとバックの間には友情が生まれ、かけがえのない相棒となっていく。「スター・ウォーズ」シリーズなどで数々のカリスマ的ヒーローを演じてきたフォードが、主人公ソーントンに扮した。監督は「リロ&スティッチ」「ヒックとドラゴン」といったアニメーション映画で言葉の壁を越えた友情を描いてきたクリス・サンダース。

映画.comより)

予告編

映画『野性の呼び声』予告【最高の冒険編】2月28日(金)公開

感想・考察(ネタバレなし)


ハリソン・フォードと大型犬のコンビ。

これはどうしてもハン・ソロとチューバッカに見えてしまいます。チューバッカが年老いたハンと共に銀河ではなくアラスカの地を旅する、そんな目線で観るとお得感が増し増しです。

しかもイヌ映画としてはなかなかツボを押さえてあって、これには変態・タイレンジャー の目にも涙でした。犬好きの涙腺ダムが決壊です。

そもそもチューバッカのモデルとなったのはジョージ・ルーカスの愛犬です。ハン・ソロの相棒の設定が定まらず、頭を痛めていたルーカスが自身の愛犬(大型犬)が車の助手席に座る様子を見て「これやー!」と閃いたのだそうな。

主従関係と相棒関係の違いはあれど、確かにチューバッカには義理堅い忠犬のようなイメージがあります。

また、本作において犬のバックは過酷な強制労働に苦しんでいたところをハリソン爺さんに救われ、行動を共にするようになります。

これ、ハンとチューバッカの出会いと同じなんですね。チューバッカは帝国に囚われて奴隷扱いだったところをハンに救われて、その恩義から彼の相棒になっています。

なので、ハリソンを起用したのはかなり確信犯的だと思いますね。流石はディズニー社の傘下になった(なってしまった)20世期スタジオ(旧20世期フォックス)です。

個人的にはハンとチューバッカの擬似物語としてはディズニー製スターウォーズよりも遥かに上手く描けていたと思いますね。なんだったら直接的なSWの続編をやるよりも、こういう擬似SWのほうがディズニー社は得意なんじゃないかなぁと。

では、本作がSWの影響下にあるのかというと、そうとは言い切れなくて、むしろ逆かもしれません。
本作には原作があり、ジャック・ロンドンにより1903年に米国で出版されたものです。米国では教科書で扱われるほど長きに渡り愛されてきた冒険小説で、今回が6回目の映画化だとか!日本で言うと文部科学省推薦枠みたいな感じですかね。

今もなお愛されて続ける原作がハンとチューバッカの関係性に影響を与えていても不思議ではありません。この原作に影響を受けた米国人は数多く存在すると推測されます。

登山家ジョン・クラカワー著のノンフィクション『荒野へ』にもそれが見られます。裕福な家庭の青年クリスが全てを捨ててアラスカの大自然へと旅立ち、孤独死を迎えたという実話を取材した内容でした。
なぜクリスは無謀にもたった1人で厳寒の荒野にてサバイバル生活をしたのか?何が彼を駆り立てたのか?

↑俗世を捨てたい人にオススメの一冊。

ここではクリスがアラスカへ旅立ったのはジャック・ロンドンの小説の影響が大きいという記述がいくつかあります。彼が取り憑かれるように荒野へ憧れたのは同小説の「文明社会への批判と野性への回帰」というテーマ性だったようです。

カリフォルニアでぬくぬくと育った犬がアラスカの荒野で野性に目覚めて狼と同化していく姿を、クリスは自身に重ねていたのでしょうね。

そう、原作の『野生の呼び声』は決して児童文学ではなくて、実は大人の心にこそ響く内容なのですね。その本質はワンワン冒険物語ではなく、言うなれば野性の証明、ということだと思います。

ところが、今回の映画版は前者寄りです。原作の本質となる孤高なテーマ性は希薄なのです。そこはやはりファミリー層をターゲットに見定めたイヌ映画として、尖った部分は丸く削られてしまったことは否めません。

本作は単純にイヌ映画として、または擬似SWとして楽しむべきなのでしょうね。

『荒野へ』の青年クリスが原作版『野生の呼び声』を読まずに、今回の映画版だけを観ていたら、アラスカに旅立つことは無かったはずです。

僕の評価

6点/10点

タイレンジャー
タイレンジャー

野性への回帰の部分がやや短絡的というか、深みが無いのですが、全体的には楽しめます。

どうでも雑感

・なお、『荒野へ』はショーン・ペン監督により『イントゥ・ザ・ワイルド』(2007)として映画化されており、こちらも良作です。

鑑賞方法

『野性の呼び声』は下記のVOD(ビデオ・オン・デマンド)にて配信中です。

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※本ページの情報は2020年11月時点のものです。最新の配信・レンタルの状況は各サイトにてご確認ください。

【黒歴史】ディズニー版スター・ウォーズ

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