『エクソシスト/ディレクターズ・カット版』主人公は誰?

映画『エクソシスト』の一場面 ホラー
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これがまた前回の記事の『ラストエンペラー』と同様に「感想が書きにくい映画」でしてねぇ…。しばらく感想を書くのを放置していました。

だってもう世間的な評価が確立されていて、名作中の名作ですから。僕の下世話な観点が付け入る隙は無いように思えたのです。

本作を観たのは中学生の時以来なので、25年ぶりくらいです。ディレクターズカット版は初見でした。久しぶりに再見しまして、ホラーというよりも、「信仰心をめぐる葛藤ドラマ」として非常に見応えがありましたね。


タイレンジャー
タイレンジャー

そう、とても陰気な人間ドラマなんですよね。

作品概要

2000年製作/131分/アメリカ
原題:The Exorcist: Director’s Cut
配給:ワーナー・ブラザース映画
監督:ウィリアム・フリードキン
製作・原作・脚本:ウィリアム・ピーター・ブラッティ
撮影:オーウェン・ロイズマン
特殊メイク:ディック・スミス
音楽:マイク・オールドフィールド/ジャック・ニッチェ
出演:エレン・バースティン/マックス・フォン・シドー/リー・J・コッブ/ジェイソン・ミラー/リンダ・ブレア/キティ・ウィン ほか

1970年代のオカルト映画ブームを牽引したホラー映画の金字塔「エクソシスト」(73)に15分間の未公開シーンを追加したディレクターズ・カット版。女優のクリスは、一人娘リーガンの12歳の誕生日を祝おうと友人達を招待した。夜更けまでパーティーが盛り上がっていると、突然、寝室から降りてきたリーガンが、客に汚い言葉を吐き、しかも、立ったまま放尿した。そしてその夜、リーガンの部屋から、突然大きな悲鳴が聞こえてきた。駆けつけたクリスが見たものは、激しく揺れるベッドと、その上で泣き叫ぶ娘の姿だった……。

映画.comより)

予告編

The Exorcist: Extended Director's Cut – Trailer

感想・考察(ネタバレなし)


僕が中学生の頃に本作のオリジナル版を観た時は「暗くてザラついた人間ドラマにかなり重点が置かれているな〜」と思ったものでした。同時に、主人公が誰なのかがよく分からない、という疑問があった為、誰のドラマを軸として観れば良いのかという点がスッキリしませんでした。

マックス・フォン・シドー(老けメイク)演じるメリン神父は最初と最後しか出てこないし、まさかリーガン(リンダ・ブレア)が主人公なわけ無いし…。刑事が主人公?ないない。

じゃ、消去法でリーガンの母親であるクリス(エレン・バースティン)か、または地味なカラス神父(ジェイソン・ミラー)なのかな、と。

確かに本作は全編を通して、下記の2つのドラマが同時並行で描かれています。

A. 娘の豹変と殺人の容疑に動揺し、憔悴する母親のドラマ
B. 職務と信仰に迷いを抱く神父のドラマ

で、作品のテーマ「信仰心を巡る葛藤」を考えると、メインは圧倒的に後者。主人公はカラス神父ですね。

前者の母親のドラマのほうが一般的には感情移入しやすいんだけど、作り手の意図を考えると、カラス神父の視点で物語を読むのが意図に忠実な見方だと考えます。

よりハッキリ言うと、信仰心を失いかけていたカラス神父が信仰心を取り戻すまで、という物語なんですなぁ。

映画『エクソシスト』の一場面

IMDbより)

独身で孤独なカラス神父は年老いた母親の面倒が見きれないため、彼女を半ば強引に入院させます。しかし入院先は荒んだ精神病棟のような場所で、母親はカラス神父に対する恨み節を口にし、のちに他界します。

結果的に母親に酷い最期をもたらしてしまった自身の判断を責めるカラス神父。信仰心が一体何の助けになるのかと、自身の職務に対する気持ちが揺らぎます。

彼はそんなタイミングで悪魔祓いを依頼されます。当初は辞退する構えも、母親を救えなかった代わりに、悪魔に憑かれた少女を救おうと決意を固めます。

が、人間の弱い心につけ込む悪魔はカラス神父に対して母親の話を持ち出すなど心理攻撃を加えてきます。

※リーガンが取り憑かれたのも家庭環境などの要因で心が弱い状態であったため、とされています。
で、カラス神父は強大な悪魔の存在に打ち勝つために信仰心を取り戻す、という訳です。

人間は弱い。だから悪魔につけ込まれる。そうならないためには強い信仰心が必要だ、と。

映画『エクソシスト』の一場面

IMDbより)

当時の最先端の医療科学では全く歯が立たなかった悪魔に対して、最後には古風な信仰心が打ち勝つというのが面白いですね。

首が回転するとか、十字架を膣に突き刺すとか、そういう表面上の強烈な描写ばかりが語られがちですが、実は葛藤ドラマとしても骨太である、というのは僕が書くまでもなく一般的な評価なのかなと思います。

僕の評価

8点/10点

タイレンジャー
タイレンジャー

70年代の米国映画は人間や社会のザラザラした「汚い」一面を見せてくれるので好きですねぇ。

どうでも雑感

・正直、中学生の時に観た感想は「面白いけど、前半がかったるい」でしたね。その前半は主に人間ドラマというか苦悩表現なので、今となっては理解できることも多く、面白かったです。大人になってからの方が身に染みる要素が多い映画だと思います。

・ウィリアム・フリードキン監督は『恐怖の報酬』もそうなんですけど、何気ない場面に猛烈に不穏な空気が充満しているところですよね。本作では冒頭のイラクの場面なんかは地元の市場とか遺跡とかが映りますけど、「何やら不穏な感じ」が伝わってくるのです。あと、カラス神父が母親を入院させた病院も異常な雰囲気でしたね。ハッタリでは片付けきれない魅力的な不穏要素をぶち込むフリードキンの演出は好きですね。

鑑賞方法

『エクソシスト/ディレクターズ・カット版』は下記のVOD(ビデオ・オン・デマンド)にて配信中です。

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※本ページの情報は2020年11月時点のものです。最新の配信・レンタルの状況は各サイトにてご確認ください。

ウィリアム・フリードキン監督作品

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