『パッセンジャー』布教ビジネス?聖書メタファー・初級編

映画『パッセンジャー』の一場面 SF
© 2016 Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved.
この記事は約5分で読めます。

人気スター2人が主演し、莫大な予算を投じた超大作ですが、露骨に聖書映画になっていますね。

もう誰が観たってそのようにしか見えないかと思います。

なぜ欧米の映画はこんなにも聖書のメタファーが多いのでしょうか?

タイレンジャー
タイレンジャー

ほかにも、あの有名作品も聖書メタファーだったりします。

作品概要

2016年製作/116分/G/アメリカ
原題:Passengers
配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
監督:モルテン・ティルドゥム
脚本:ジョン・スパイツ
撮影:ロドリゴ・プリエト
音楽:トーマス・ニューマン
出演:クリス・プラット/ジェニファー・ローレンス/マイケル・シーン/ローレンス・フィッシュバーン/オーロラ・ロビンソン・ペリノー/アンディ・ガルシア ほか

「ハンガー・ゲーム」「世界にひとつのプレイブック」のジェニファー・ローレンスと「ジュラシック・ワールド」のクリス・プラットが主演を務め、宇宙船内で極限状態に置かれた男女の愛と運命を描いたSF大作。20XX年、乗客5000人を乗せた豪華宇宙船アヴァロン号が、新たなる居住地を目指して地球を旅立ち、目的地の惑星に到着するまでの120年の間、乗客たちは冬眠装置で眠り続けていた。しかし、エンジニアのジムと作家のオーロラだけが予定よりも90年近く早く目覚めてしまう。絶望的で孤独な状況下で生き残る方法を模索するうちに、2人は惹かれ合っていくのだが……。「イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密」のモルテン・ティルドゥム監督がメガホンをとり、「プロメテウス」のジョン・スパイツが脚本を手がけた。

映画.comより)

予告編

『パッセンジャー』予告編

感想・考察(ネタバレなし)


『ターミネーター』に登場する人類の救世主、ジョン・コナーがイエス・キリストのメタファーであるという話を知った時は「ほほーっ!」と目からウロコだったものです(名前のイニシャルがどちらもJC)。 

これに限らず、欧米の映画は聖書メタファーが多いですね。『ターミネーター』のように表面上は聖書と関係がなくても、実は裏テーマとして聖書を題材にしていたりします。 

当弱小ブログで取り上げた映画の中でも『猿の惑星/聖戦記』や『マザー!』聖書メタファーであるというのがすっかり通説になってるのだそうな。 

※個人的にはメタファー(たとえ、隠喩)という言葉が分かりにくくて好きではないのですが、語呂がいいので、そのまま使います。

で、本作はモロにというか、素人目にも見抜ける聖書メタファー・初級編のような内容ですね。 

新天地を求めて人類を乗せて航海する宇宙船はノアの箱舟だし、 「世界」にたった2人の男女はアダムとイヴにしか見えません。 言ってみれば「宇宙の旧約聖書」のような壮大な試みとして本作はスタートしたのではないでしょーか。 

しかし気になるのは、なぜこんなにも聖書メタファーの映画が多いのかということです。 欧米の文化・価値観がキリスト教に根付いたものであるので、無意識レベルで聖書が創作に表れてしまうのかもしれません。 

または、キリスト教系の強力な某団体が映画に出資しているのかもしれません。 なぜか? 布教活動ですかねぇ? 音楽の分野で言えば、米国にはキリスト教徒で構成されるバンドや、聖書を題材とした曲づくりを行う「クリスチャン・ロック」という形態があるくらいですし、キリスト教は様々な分野において一大ビジネスなんでしょうね。 米国のエンタテインメント産業はある程度、キリスト教の影響下にあり、テレビも映画も音楽もすべてが布教ツールなのだと思いますー。 

本作に話を戻すと、聖書メタファーでありながらも「人間の業」を描く(主人公は人生の殺人を犯してしまう!)ドラマとして前半は見応えがあったものの、後半はその葛藤があまりに安直に解決されてしまうので、尻すぼみ感は否めません。 

オリジナルの脚本ではもっと残酷な展開が後半に用意されていた(ググってみてください)ことを考えると、マイルドに当たり障りない展開に改変されたことが分かります。 キリスト教かどうか分かりませんが、きっと出資側の圧力が加わった結果だと思います。 金も出せば口も出す人が多く関わり、且つ作り手が作品をコントロールしきれない場合、こういうことになってしまう一例ですね。 

主演スターふたりは好演していただけに、内容が攻め切れなかったのが勿体ない一本でした。 まるで手抜き工事された豪華ホテルのようです。 

僕の評価

5点/10点

タイレンジャー
タイレンジャー

映像的な見応えもあって全体的に楽しめますが、終盤の展開をどう見るかですね。僕はガッカリしました。

どうでも雑感

・ジェニファー・ローレンスは『マザー!』でも聖書メタファー映画に出演してましたね。

・やっぱり終盤のまとめ方が無理やりだった感がありますが、犯罪者に人質にされた被害者がその犯人グループへ親近感を抱いてしまう「ストックホルム症候群」だと言われれば納得できなくもないです。

鑑賞方法

『パッセンジャー』は下記のVOD(ビデオ・オン・デマンド)にて配信中です。

・U-NEXT |31日間無料トライアルキャンペーン実施中

U-NEXT

・TSUTAYA TV |30日間無料お試し期間実施中

※本ページの情報は2020年11月時点のものです。最新の配信・レンタルの状況は各サイトにてご確認ください。

コメント