『シェイプ・オブ・ウォーター』感想・雑感:モンスターとの性愛、市民権を獲得!

映画『シェイプ・オブ・ウォーター』の一場面 SF
(C)2017 Twentieth Century Fox
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大傑作『パシフィック・リム』のギレルモ・デル・トロ監督の新作が「人間の女性と半魚人がセックスする映画」と聞いただけで期待値はマックス。 何せ、人間の女性とモンスターとの性愛を描いた映画は超・傑作が多い。

タイレンジャー
タイレンジャー

いや、多くはないかもしれないけど(笑)

作品概要

原題:The Shape of Water
2017年/アメリカ/124分
監督:ギレルモ・デル・トロ
脚本:ギレルモ・デル・トロ/バネッサ・テイラー
撮影:ダン・ローストセン
音楽:アレクサンドル・デスプラ
出演:サリー・ホーキンス/マイケル・シャノン/リチャード・ジェンキンス/ダグ・ジョーンズ/オクタビア・スペンサー ほか

「パンズ・ラビリンス」のギレルモ・デル・トロが監督・脚本・製作を手がけ、2017年・第74回ベネチア国際映画祭の金獅子賞、第90回アカデミー賞の作品賞ほか4部門を受賞したファンタジーラブストーリー。1962年、冷戦下のアメリカ。政府の極秘研究所で清掃員として働く女性イライザは、研究所内に密かに運び込まれた不思議な生き物を目撃する。イライザはアマゾンで神のように崇拝されていたという“彼”にすっかり心を奪われ、こっそり会いに行くように。幼少期のトラウマで声が出せないイライザだったが、“彼”とのコミュニケーションに言葉は不要で、2人は少しずつ心を通わせていく。そんな矢先、イライザは“彼”が実験の犠牲になることを知る。「ブルージャスミン」のサリー・ホーキンスがイライザ役で主演を務め、イライザを支える友人役に「ドリーム」のオクタビア・スペンサーと「扉をたたく人」のリチャード・ジェンキンス、イライザと“彼”を追い詰める軍人ストリックランド役に「マン・オブ・スティール」のマイケル・シャノン。アカデミー賞では同年最多の全13部門にノミネートされ、作品、監督、美術、音楽の4部門を受賞した。

(映画.comより)

予告編

ギレルモ・デル・トロ描く純粋な愛の世界『シェイプ・オブ・ウォーター』予告編

感想・考察(ネタバレなし)

モンスターとの性愛映画ってどんなん?

例えば、アンジェイ・ズラウスキー監督の『ポゼッション』(1981)がそうだ。  

 イザベル・アジャーニ演じる美しい妻の浮気を疑う旦那。しかし、その浮気相手は人間ではなく、妻が「自分で産んだ」という得体の知れない怪物だった…という話。アジャーニがタコお化けと全裸で絡み、激しく喘ぐという凄まじいシーンがある。

とにかくアジャーニにが汚物にまみれてわめき散らす狂った狂った映画で、僕は大好き。僕のオールタイムベスト10に余裕で入る一本。 

もう一本は『エイリアン4』。 

 いや、エイリアンとはセックスしてなかったぞ〜と思われる方も多いだろうけど、エイリアン4』はどう見てもリプリーとエイリアンの近親相姦です。直接的な性描写こそ無いものの、明らかにそれを匂わすシーンが多い。

例えば、ニューボーン・エイリアンとリプリーのベタベタしたスキンシップは官能的だし、エイリアンの腕に抱かれて運ばれるリプリーが浮かべる恍惚とした表情は性的な意味合いが強い。

変態度が高い本作はシリーズ中でブッチギリのベスト1であるだけでなく、これまたオールタイムベスト級。  

つまり、僕のオールタイムベスト10には怪物とのエッチ映画という特定のジャンルが2本も入っている。もともとそんな変態ジャンルの映画がなんて少ないのだから、『シェイプ〜』は待ちに待った逸品と言える。

映画『シェイプ・オブ・ウォーター』の一場面

(C)2017 Twentieth Century Fox

狭い題材、間口の広い物語

さて、そんな変態ジャンルの流れを汲む「シェイプ〜」は期待通りの傑作だった。

そして、「怪物とのセックス」という題材を一気にメジャー化させる画期的な映画でもある。 『ポゼッション』や『エイリアン4』が性愛や近親相姦といったハードルが高いテーマを扱っていたのに対し、本作のテーマは分かりやすい純愛だ。

もちろん、半魚人とのセックスはあるけれど、話のベースは人種を超えた純愛なので、どんな人でも観やすい。レディースコミックやボーイズラブを読むよりもハードルが低いのではないかと思う(反感を買いそうな文章)。超特殊な話なのに、すっと物語に入っていける懐の深さが最大の特徴だ。 

例えば、『ラ・ラ・ランド』が好きな人に間違っても『ポゼッション』はお薦めできないけど、本作なら気に入ってもらえる可能性が高い。いや、半魚人とセックスする映画ではあるんだけど。

(画像は映画.comより引用)

僕の評価

8点/10点

タイレンジャー
タイレンジャー

異形愛が誰でも観られるアカデミー賞映画になっちゃいました。これは離れ業!

どうでも雑感

・デルトロらしい弱者に対する優しい眼差し。冒頭からキャラクターへの愛に溢れている。 

・性描写、残酷描写に遠慮がない。汚いものをキチンと描いている。 

美男美女が出てこない。登場人物は皆、満たされぬ想いを抱えた、日陰に生きる人たちだ。 

・撮影、美術がダークで美しい。コッテリした絵作りは僕の好み。 

・サリー・ホーキンス(42歳)のお尻。 

・マイケル・シャノンがムスカを思わせる非道な悪役でイイ!

鑑賞方法

『シェイプ・オブ・ウォーター』はU-NEXTで鑑賞できます。31日間無料トライアルなのでぜひ。
(2020年10月時点)

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