『アリータ:バトル・エンジェル』感想・考察:愛の伝道師、ジェームズ・キャメロン

映画『アリータ:バトルエンジェル』の一場面 SF
(C)2018 Twentieth Century Fox Film Corporation
この記事は約5分で読めます。

どこまでもキャメロン節であった。

ジェームズ・キャメロンが長年温めてきた企画であるにも関わらず、監督の座をアッサリと譲ってしまったので、心配な一本だったんですよ。キャメロンの意向は本作にどの程度反映されているのか?と。完全なロバート・ロドリゲス映画になっていたら嫌だなぁと(笑)。

で、実際に観てみると、本作は物語の骨格やテーマにおいてはキャメロンらしさが色濃ーく残ってましたね。

と言うのも、キャメロンの映画ってだいたいいつも同じような話なんですよね。

作品を重ねても重ねても、金太郎飴のごとく毎回が同じテーマな気がします。

一言で言うと「愛」についての話です。


タイレンジャー
タイレンジャー

ジェームズ・キャメロンは実は「愛の伝道師」。

作品概要

原題:Alita: Battle Angel
1920年/アメリカ/120分
監督:ロバート・ロドリゲス
製作:ジェームズ・キャメロン/ジョン・ランドー
原作:木城ゆきと
脚本:ジェームズ・キャメロン/レータ・カログリディス/ロバート・ロドリゲス
撮影:ビル・ポープ
音楽:トム・ホルケンボルフ
出演:ローサ・サラザール/クリストフ・ヴァルツ/マハーシャラ・アリ/ジェニファー・コネリー/キーアン・ジョンソン ほか

木城ゆきとによる日本のSF漫画「銃夢(ガンム)」を、同作の映画化を長年にわたり熱望していたジェームズ・キャメロンの脚本・製作により、ハリウッドで実写映画化したアクション大作。監督は「シン・シティ」のロバート・ロドリゲス。主人公アリータ役は「メイズ・ランナー」シリーズのローサ・サラザールが務め、いずれもオスカー俳優であるクリストフ・ワルツ、ジェニファー・コネリー、マハーシャラ・アリが共演。数百年後の未来。スクラップの山の中から奇跡的に脳だけが無傷の状態で発見されたサイボーグの少女アリータは、サイバー医師のイド博士によって新たな体を与えられ、目を覚ます。しかし彼女は、自分の過去や今いる世界についてなど、一切の記憶が失われていた。やがてアリータは、自分が300年前に失われたはずの最終兵器として作られたことを知り、そんな兵器としての彼女を破壊するため、次々と凶悪な殺人サイボーグが送り込まれてくる。アリータは、あどけない少女の外見とは裏腹の驚異的な格闘スキルをもって、迫り来る敵たちを圧倒していくが……。

映画.comより)

予告編

映画『アリータ:バトル・エンジェル』本予告【天使降臨】編 2月22日(金)劇場公開

感想・考察(ネタバレなし)

女性は愛する者の為に強くなる

ジェームズ・キャメロンの映画と言えば「強い(闘う)女性!」というイメージ。より細かく言えば、女性が愛する者の為に、潜在的な強さを発揮するというパターンの話が多いんですよね。

『ターミネーター』のサラ・コナーも、
『エイリアン2』のリプリーも、
『タイタニック』のローズも。

さらに言えば、受け身であった(またはまだ何者でもない)女性が愛を知ることで、主体的に自らの運命を切り開いていこうとする話だと思いますー。

本作も主人公アリータちゃんと人間の男性とのロマンスが描かれています。で、アリータちゃんは愛の為に闘い、やがては自らの運命に立ち向かっていくことになるんですね。

男は途中退場して、残された女性が強さを発揮する、というのはキャメロン映画の定番。

男性は生き絶えども、女性が未来を切り開いていく。というキャメロンらしい女尊思想は本作でも健在でした。

あともう1つ、おなじみのテーマがあります。

映画『アリータ:バトルエンジェル』の一場面

(C)2018 Twentieth Century Fox Film Corporation

機械・兵器が「愛」を学ぶ

アリータちゃんはそもそも戦闘用に開発されたサイボーグなので、「兵器」です。

キャメロン映画では、こういう機械や兵器が人間から愛を学ぶというパターンも多いですよねー。

ピンポイントで言うと『エイリアン2』のビショップに、『ターミネーター2』のT-800。

このテーマが何を意味するかと言うと、

機械が愛を知り得るなら、人間と機械の違いは何なのか?

転じて、

人間が人間であるということはどういうことか、という問いなんだと思います。

実際に『ターミネーター2』の最後はこんな言葉で締めくくられています。

機械が命の尊さを学べるのなら、私たち人間にできないはずはありません。

『ターミネーター2』より

人間が見失いかけている価値観を、逆に機械によって気づかされるわけなんですね。

で、『アバター』なんかは機械をナヴィという異星人に置き換えた話ではないかと。

原始的な生活ながらも自然と共生し、他者を敬うナヴィと、利益を追求し他者を排除する人間と、どちらが人間らしいのかという対立が1つのテーマになっています。

そして本作も人間とサイボーグの間の愛を通して、人間の身勝手さが浮き彫りになるという話でした。

アリータちゃんが愛する者の為に自分の心臓を取り出して差し出すシーンが象徴的。人間とは違って「純真無垢な機械の愛」を描きたかったのだなぁということがよく分かります。

だから、やっぱり「愛」の人なんですよ。キャメロンは。

よっ!愛の伝道師!(似合わないけど)

その点が再確認できただけで、僕にとっては十分な映画でした。

逆に言うと、ほかに特筆すべき点が無い作品でもありますが。

僕の評価

4点/10点

タイレンジャー
タイレンジャー

1本の映画としては難がありますね。そもそもキャラクターに魅力を感じませんでした。

どうでも雑感

・ここ数年のジェニファー・コネリーはガリガリに痩せすぎですね。。。かつての豊満な感じが恋しいです。

鑑賞方法

『アリータ:バトル・エンジェル』はU-NEXTで鑑賞できます。31日間無料トライアルキャンペーンがあるのでぜひ。

U-NEXT

本ページの情報は2020年11月時点のものです。最新の配信状況はU-NEXTサイトにてご確認ください。

コメント