カンボジアで上映される映画の中でもホラーは国内外作品問わず多数(人気)。
上映作品の半分近くはホラー映画なんじゃないかってくらい。
僕がカンボジアに移り住む前に、「どんなホラー映画があるのか」とクメール語の先生(カンボジア人)に訊いてみたところ、「我が子を奪われた母親の幽霊の話が一番怖い」とのこと。
本作はまさにその題材。ただ、カンボジア映画ではなく、タイ映画であることが、鑑賞直前に判明。ま、いっか。

タイ産ホラーの実力やいかに?
作品概要
2018年/タイ/120分
監督:Mate Yimsomboon
脚本:Nattanan Piyasongsooth/Mate Yimsomboon
出演:Supawadee Kitisopaku/Chitipat Wattanasiripong/Nattana Kuwongwattanaseree ほか
■あらすじ:
舞台はタイの首都バンコク。
北部の田舎町チェンラーイからバンコクの高校に進学した女子高生が主人公。で、その女子高生は同学年の男子生徒と恋に落ちる。
あれよと言う間に妊娠!
双方の親からは交際を反対され、2人は会うことができなくなってしまう。止むを得ず中絶の道を選ぶ女子高生。
しかーし、手術の最中に女子高生は命を落としてしまう。
それ以来、成仏できぬ彼女の魂が悪霊となって、かつて住んでいたマンションに居座り、近隣住民を恐怖のドン底に…。
予告編
感想・考察(ややネタバレ)
映画の序盤は高校生カップルの馴れ初めパートなので、激甘展開が続く。
ガッキー主演の『恋空』の序盤みたいな感じ。
(『恋空』は酷い話だった…)
しかーし、女子高生が中絶の為に向かった先の病院が完全にお化け屋敷状態で、ここから急にホラーテイストにに転調!
ガラッと悪霊ホラーの”本編”がスタート。
悪霊の存在に頭を悩ませる近隣住民たちが起こした対策ってのが実にタイ文化に根ざしたものであったのが興味深い。
これはカンボジアもよく似ている部分なので。
何かと言うと、その道のエキスパートに助けを乞うんですね。しかも、段々と位が高くなるという。
助っ人① 霊能力者
「私、見えるんです」な霊能力者の女性が住民に雇われて突撃。
が、悪霊を前に全く歯が立たず、ノコノコ退散
助っ人② 呪術師
カンボジアでは伝統的な民間療法を施す人(クルー)という存在がどこにでもいまして、タイもそれと同じなのかなと。
この呪術師はかなり善戦するものの、悪霊には勝てず。
助っ人③ 高僧
カンボジアでもタイでも、こういう時に一番頼りになるのはやっぱりオレンジ色の袈裟を着たお坊さんです。
『エクソシスト』のメリン神父(マックス・フォン・シドー)ばりに威厳のあるお坊さんが大迫力の登場!彼ならやってくれそうだ!
そして、これがクライマックス戦に。
悪霊「出て行けぇ!このボウズがぁぁ!!」
うわー。本当に『エクソシスト』みたーい。
その結末や、いかに!?
と、期待も最高潮に達したところで…
話がまた「恋空」に戻っちゃうんです。
つまり、本作は悪霊ホラーを『恋空』でサンドイッチするという構成なんですな。
せっかく徳の高いお坊さんを呼んできたのに、「恋空」で終わらせるもんだら、お坊さんも「では、そういうことで」とひっそり退散。お坊さん、美味しいところを持って行き損ねたな…。
ターゲットは10代の若い客層だから、ロマンスを入れたい気持ちは分かるけど、お坊さんを立てないのは敬虔な仏教国としてはマズイのでは…なんて思ったり。
(画像はIMDbより引用)
僕の評価
4点/10点

ラノベっぽさが中高生向けと思った次第です。
どうでも雑感
・女子高生が極秘出産する病院が(ホラー演出上)恐ろしくキッタネェ所で、奥さんにこんな環境で出産させる旦那はダメだ、とまともなことを肝に銘じたり。
鑑賞方法
あいにく2020年10月時点で『Ghost Wife』は日本では動画配信されておりません。
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