伝説的な前作から8年ぶりの続編。しかしながら、前作とは完全なる別物と割り切る必要があります。
というのも、前作をパロディ化したコメディのような映画に仕上がっているからです。
同窓会で久々に会ったらすっかり人相が変わってしまったなぁ・・・みたいな。
作品概要
1990年製作／アメリカ
原題：Basket Case 2
配給：ギャガ・コミュニケーションズ
監督：フランク・ヘネンロッター
脚本：フランク・ヘネンロッター
撮影：ロバート・Ｍ・ボールドウィン
音楽：ジョー・レンゼッティ
出演：ケヴィン・ヴァン・ヘンテンリック／アニー・ロス／キャサリーン・メイスル／ヘザー・ラトレー ほか
奇形のシャム双生児の兄弟の織りなす愛と悲劇を描くホラー映画で、「バスケットケース」（82）の続編。エグゼクティヴ・プロデューサーはジェームズ・グリッケンハウス、製作はエドガー・イエヴィンス、監督・脚本は「バスケットケース」のフランク・ヘネンロッター、撮影はロバート・Ｍ・ボールドウィン、音楽はジョー・レンゼッティが担当。出演はケヴィン・ヴァン・ヘンテンリック、アニー・ロスほか。
（映画.comより）
予告編
感想・考察（ネタバレなし）
監督は前作に続きフランク・ヘネンロッター。彼は『フランケンフッカー』を撮る為の資金を捻出すべく、“不本意ながらも”『バスケット・ケース』の続編を撮る契約を取り交わしたそうです。
なので、この続編を観るにあたっては、これがヘネンロッターのやっつけ仕事であることを念頭に置かなくてはいけません。
前作とは別物と感じさせるのはそういった制作背景からくる監督のモチベーションだけではなく、被写体にも表れています。
前作から8年ぶりの続編なのに、話は前作の直後から始まるという設定に無理があるのです。8年も経てば人は色々変わりますから…。
[一作目] 少年のような甘い容姿だった弟が…
（IMDbより）
↓[二作目]
（IMDbより）
おっさん化しとるやないか！(同じ俳優)
つぶらな瞳がキュートだった兄は…
[一作目]
（IMDbより）
↓[二作目]
（IMDbより）
めっちゃ人相悪くなってるし…。もはや別人だろ！
この似て非なるもの感が余計にパロディものっぽく見えてしまうんですねー。
兄の造形は予算が増えた分、クオリティが上がった結果だと思いますが、続編を撮る気がなかった監督は「別物アピール」として敢えて造形を変えたんじゃないかなーという気も。
1作目が好きな人は気持ちを切り替えましょう。
前作とガラリと変わった部分はあと1つあります。それは物語と登場人物の立場で、前作とは反転しています。
前作は人間だらけの大都会にフリークスが異物として紛れ込む話だったのですが、本作はフリークスの世界に健常者である主人公(弟)が紛れ込みます。つまり、フリークスだらけの世界においては、健常者こそがフリークスなのだと。だからどーした？って言われるとそれまでなんだけど、とにかくこの続編の特徴はそれです。
大挙登場するフリークスたちの造形は被り物感が丸出しすぎて趣がありませんが…。
（IMDbより）
↑なんか違うんだよなぁ。
それに前作のテーマであった「満たされぬ性欲」においては、今回はモテ男の弟は童貞のままで終わり、兄が先に満願成就となります(！！)。フリークスが美味しい思いをして、健常者はヤリたくてもヤレない。ここも前作とは反転してますね。
そう！今回はお兄ちゃんの濡れ場がガッツリ描かれていますよ！
ベッドがギコギコ軋むほどなので、それはそれは激しい絡みでしたよ。
(しかしながら、兄が前作とは同一人物に見えないせいか、感慨も何もないのですが)
とまぁ、色々と見どころを書きましたが、本作は完全にぬるま湯です。前作はもちろん、『ブレインダメージ』や『フランケンフッカー』でヘネンロッターの本気を見てきた身からすれば本作はほとんど評価に値しません。
おバカ映画として本作を好む人もいるようですが、今回のヘネンロッターはわざとおバカ映画風に撮っているだけだということをお忘れなきよう。
しかし、ヘネンロッターのやっつけ悪ふざけは『バスケット・ケース３』と更に続きます…。
僕の評価
3点／10点
やっつけすぎるぞ！ヘネンロッター！
どうでも雑感
・ほんと、兄弟そろってぜんぜん可愛げが無くなっちゃいました。
前作は映像のチープさに加えて、兄弟のおぼつかない佇まい(弟のキスだけは立派、笑)が魅力でもありましたからね。
それが今回はただのワガママおじさん2人組ですから、ちょっと感情移入しづらかったですー。
鑑賞方法
『バスケット・ケース２』はU-NEXTで鑑賞できます。31日間無料トライアルキャンペーンがあるのでぜひ。
本ページの情報は2020年11月時点のものです。最新の配信状況はU-NEXTサイトにてご確認ください。
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