『シアター・プノンペン』【家族を赦す】カンボジア映画産業の復興を宣言する感動作

映画『シアター・プノンペン』の一場面 ドラマ
(C)2014 HANUMAN CO.LTD
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いやいや、カンボジア映画だからと敬遠することなかれ。 本作は2016年に日本でも劇場公開されており、僕もその年のベスト10に入れるほど好きな作品でした。 

これはカンボジアにしか作ることができない映画であり、同時にカンボジアを知らない人にも訴求できる映画なのです。


タイレンジャー
タイレンジャー

「泣ける」という言葉は安易に使いたくないのですが、本作を観ては号泣でした。

作品概要

2014年製作/105分/カンボジア
原題:The Last Reel
配給:パンドラ
監督:ソト・クォーリーカー
製作:ソト・クォーリーカー イアン・マスターズ
脚本:イアン・マスターズ
出演:ラス・モニー/マー・リネット/ディ・サヴェット/ソク・ソトゥン ほか

これが初監督作となるカンボジアの新鋭女性監督ソト・クォーリーカーが手がけ、2014年・第27回東京国際映画祭「アジアの未来」部門で国際交流基金アジアセンター特別賞を受賞した作品(映画祭上映時タイトル「遺されたフィルム」)。カンボジアの首都プノンペンに暮す女子大生ソポンは、ある日、映画館で1970年代のポル・ポト政権下に作られた古い映画の存在と、そこに若き日の母が出演していたという事実を知る。しかし、母は自分が女優であったことを全く語ろうとしない。その映画をどうしても見たいと思うソボンは映画のフィルムを探し始め、ポル・ポト時代に蹂躙された母国の映画史を発掘していくことになる。

映画.comより)

予告編

ある映画を観たら、母親が出演していた!映画『シアター・プノンペン』予告編

感想・考察(ネタバレなし)

ピンポイントな題材と普遍的なテーマ

本作には2つの大きな題材が扱われています。 

1つはポルポト政権(クメール・ルージュ)によって引き裂かれた愛と芸術。これはカンボジア特有の題材ですね。 

もう1つは映画への愛!これは万国共通、映画好きなら誰もが共感しうる普遍的な題材です。 

カンボジアの悲惨な歴史という題材に二の足を踏みたくなる気持ちも分かりますが、そこは「映画愛」という切り口でご覧になってはいかがでしょーか。 題材の割に悲惨な描写はほとんど出てこないので観やすいと思います。 200万人の自国民を犠牲にしたポルポト時代を通して、 

・親の本当の姿を知る
・過去の罪を赦す 

というテーマが浮き彫りになってくる後半の展開には、変態であるタイレンジャーの涙腺ダムが決壊しました。

映画『シアター・プノンペン』の一場面

(C)2014 HANUMAN CO.LTD

解説:かつては黄金期を迎えていたカンボジア映画界

あと予備知識として少しだけ解説を。 

本編の最後に「追悼」としてポルポト時代に亡くなった映画関係者たちを紹介する映像が流れます。 

1960年代のカンボジアは映画の黄金期を迎えており、300本以上の映画が制作され、数多くの才能あるキャストとスタッフに恵まれていました。 1970年代に入ると国際的に評価されるような映画も登場し、さらなる発展が望まれたところで、ポルポト時代の始まりです。

原始共産主義を標榜するポルポトは都市部に住む知識層・文化人を差別し、強制労働・拷問・処刑へと送りこみました。 カンボジアの映画人が一気に消え去ってしまったのです。 

本作はそんな彼らに対する哀悼の意を最後に表明しているのですね。ポルポト時代が来なければ才気あふれる彼らはカンボジアの映画産業の発展に大きく寄与したことでしょう。 

彼らが積み上げてきたものは残酷にもリセットされてしまいましたが、彼らの想いを受け継いで映画産業を復興させようという意志が本作には感じられます。 主人公のソポンが失われた最後の一巻の再現を試みるというのは、それすなわち映画産業の復興を意味しているからです。

僕の評価

8点/10点

タイレンジャー
タイレンジャー

何度でも言いますが、カンボジアという題材に抵抗を感じずに観て欲しい傑作。

どうでも雑感

・あ、何かあったらすぐに拳銃をぶっ放す彼氏のことはあまり気にしないで下さい笑。カンボジアはあんな銃社会ではありません。



鑑賞方法

『シアター・プノンペン』は下記のVOD(ビデオ・オン・デマンド)にて配信中です。

・TSUTAYA TV |30日間無料お試し期間実施中

※本ページの情報は2020年11月時点のものです。最新の配信・レンタルの状況は各サイトにてご確認ください。

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