地雷の撤去を捕虜となった少年たちにやらせよう、とは鬼畜の所業です。
しかし、これもまた敗戦国の現実。ナチスドイツが埋めた地雷はドイツの少年兵に処理させる、というものなのです。
戦争の一番の犠牲者はいつも純真無垢な子どもたちなのですね。

いい勉強になる映画です!個人的に学んだこともアウトプットします。
作品概要
2015年製作/101分/G/デンマーク・ドイツ合作
原題:Under sandet | Land of Mine
配給:キノフィルムズ
監督・脚本:マーチン・ピータ・サンフリト
撮影:カミラ・イェルム・クヌーセン
音楽:スーネ・マーチン
出演:ローラン・モラー/ルイス・ホフマン/ジョエル・バズマン/ミケル・ボー・フォロスゴー/ローラ・ブロ ほか
終戦直後のデンマークを舞台に、地雷撤去を強制される敗残ドイツ軍の少年兵たちの過酷な運命を、史実に基づいて描いた。第2次世界大戦後、デンマークの海岸沿いに残された無数の地雷を撤去するため、元ナチス・ドイツの少年兵たちが連れて来られる。彼らを指揮するデンマーク人軍曹はナチスに激しい憎しみを抱きながらも、無垢な少年たちが次々と命を落とすのを見て良心の呵責にさいなまれるようになっていく。2015年・第28回東京国際映画祭コンペティション部門に出品され、軍曹役のローラン・モラーと少年兵役のルイス・ホフマンが最優秀男優賞を受賞した(映画祭上映時タイトル「地雷と少年兵」)。
(映画.comより)
予告編
感想・考察(ネタバレなし)
そもそも地雷の役割とは
「地雷は完全なる兵士である」
- ポル・ポト
カンボジアで4年足らずの間に200万人の自国民を死に追いやった独裁者の言葉です。
食料・燃料・休息を必要とせず、安価で(安い地雷は300円くらい)、いちど設置したら半永久的に働き続ける地雷。
ポルポトはそんな地雷を究極の兵器・兵士として扱い、おびただしい数が国内に埋められ、今もなお200万個は地中に眠っていると言われています。(都市部や観光地は安全ですのでご安心を)
地中に埋められた地雷の捜索・撤去には多大な時間と手間を要し、何よりも非常に危険な作業であるのは明らか。
対人地雷が恐ろしく、また悪質であるのは、「人を殺さないこと」を目的としているからです。
殺さずにあえて負傷に留めておくことで敵兵に精神的な打撃を与え、救援活動などで敵国の兵力と費用を削ぐことができるということです。
だから、多くの対人地雷は手や足が吹き飛ぶくらいの威力で、即死には至らないのだとか。
(C)2015 NORDISK FILM PRODUCTION A/S & AMUSEMENT PARK FILM GMBH & ZDF
かつての敵国同士の合作
本作の舞台は第二次大戦終結直後のデンマーク。捕虜となった無数のドイツ兵の大移動から幕を開けます。
大戦中はデンマークを支配下に置いていたドイツ。負の遺産としてデンマークに残された220万個の地雷をいったいどうするのか?
積年の恨みを晴らしたいデンマーク軍はこの地雷撤去活動をドイツ軍の少年兵たちに強制します。ニキビが似合いそうな中学生か高校生くらいの少年たちですよ。
デンマークはなんちゅう酷いことをしてくれたんだと思ってしまいがちですが、本作は当のデンマークとドイツの合作なんですよねぇ。隣国同士でこんな映画が作れるなんてすごいですねぇ。
両国ともに贖罪の念があってこその一本ですわ。
地雷撤去のシーンは息を飲む緊張感ですよ。いつ吹き飛ぶかわかりませんから。
その危険と隣り合わせなのが男の子たちだから余計に辛いのです。
(C)2015 NORDISK FILM PRODUCTION A/S & AMUSEMENT PARK FILM GMBH & ZDF
なぜ少年が兵士になるのか
ちなみに、少年兵が動員された背景としては、戦争の長期化による人的資源の不足、さらには兵器の簡易化・軽量化が挙げられるそうです。
例えば、第二次大戦後にソ連が開発した自動小銃AK-47は重量がわずか5kgにも満たないほど軽量。子どもでも扱えてしまう手軽さから、その後の様々な戦場で多く使用され「最も多く使われた軍用銃」として知られています。
きっとAK-47以前の第二次大戦中でも、体力で大人に劣る少年でも使いやすい銃器が多かったのだろうと推測されます。技術の発展が少年たちを物理的に戦力化させてしまったんですね。
では、本作はひたすら辛い話なのかと言うとそうではなく、少年兵たちを監督する立場のデンマーク兵が徐々に少年兵たちと打ち解けていく展開もあって救いのある話にはなっています。
ドイツ兵は憎いが、ボロ雑巾のように使い捨てられる少年たち(の命)を目の当たりにして、デンマーク兵の心にも葛藤が生まれるんですね。
歴史学習の教材としても、一本の作品としてもいい映画ですよ。
でも、一見丁寧に作られているようで、話の運び方は少し雑だったり、人物描写は書き込み不足かなぁと思う部分もあったり。
いい映画というより、いい勉強になったという意味合いが強いですかね。
僕の評価
6点/10点

学びのある有意義な映画です。序盤の地雷撤去訓練の静かな緊張感たるや・・・。
どうでも雑感
・最初のほうで少年兵たちがひとりひとり、小屋のなかで地雷を処理させられるシーンの緊迫感はすごかったですね。あの時点では誰が主要キャストなのか分かってなかったので、だれがドカンとなるのか全く予測がつかないのも効果的でした。
鑑賞方法
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※本ページの情報は2020年11月時点のものです。最新の配信・レンタルの状況は各サイトにてご確認ください。
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